経理と公認会計士の違いは?業務内容や年収向いている人の特徴を解説
2024/03/07
公認会計士は時折、経理業務を担当することもありますが、両者の仕事内容は明確に異なります。
公認会計士は、会計や経営分野での最高ランクの国家資格であり、公認会計士のみ行うことができる独占業務もある高度な専門知識を有する専門家です。
一方で経理は、公認会計士と関連性があるとされる職種ですが、経理業務を行うにあたり特定の資格は必要なかったりと具体的な違いについては理解しにくい部分もあるかもしれません。
この記事では、公認会計士と経理の具体的な違いについて解説します。
コンテンツ目次
経理と会計士の業務内容と年収
経理の業務と年収
・業務
経理の主な仕事は、日々の入出金を仕訳けて出納帳などの帳簿に記録し、これを基にして財務諸表などを作成することです。
すでにパソコンを使って会計ソフトに入力することは当たり前ですが、近年ではクラウド会計などを利用している企業も急増しています。
また、支払管理や売掛金請求書の処理なども経理の担当業務になります。
・年収
経理の仕事の平均年収は約382万円(求人ボックス調べ)
経理の仕事の平均年収は約377万円で、これは日本全体の平均年収と比べるとやや低めです。
正社員の給与分布を見てみると、最も多いのは年収319万円から412万円の範囲であり、平均年収の377万円もこのゾーンに含まれています。
ご参考に、公認会計士の平均年収について、更に詳しく知りたい場合は「公認会計士の年収はどれくらい?年代・勤務先別の違いまで徹底解説!」の記事をご覧ください。
参考:求人ボックス給料ナビ「経理の仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)」
会計士の業務と年収
・業務
公認会計士の主な役割は、法定監査と呼ばれる独占業務です。これは、企業が作成した財務諸表が正確であるかを確認し、その結果を監査意見として発表する仕事です。
公認会計士として登録した初期は、監査法人での監査業務が一般的です。
・年収
平均年収は約539万円(求人ボックス調べ)
会計士の仕事の平均年収は約533万円で、これは日本全体の平均年収と比べると高めの傾向にあります。
正社員の給料分布を見てみると、最も多いのは年収442万円から533万円の範囲であり、平均年収の533万円もこのゾーンに含まれています。
参考:求人ボックス給料ナビ「会計士の仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)」
経理と会計士に向いている人の特徴
経理に向いている人
細かさと責任感がある人
経理は企業の資金の流れを把握して管理する役割を果たす部門です。
そのため、誤りがあると大問題ですのでミスをなくし、会計業務を責任感持って遂行することが求められます。
数字を苦痛に感じない人
経理は数字と向き合う仕事です。企業のお金の動きを数字で表現し、そこから改善点や課題を見つけ出します。
そのため、数値を見て瞬時に問題を判断できたり、違和感を見逃さない感度の高い人が適していておすすめです。
コミュニケーションが好きな人
経理の仕事では、コミュニケーション能力が高い人が適しています。
「複雑な会計処理をわかりやすく説明する」「営業部門からの数字に隠れた意図を理解し、的確にまとめて伝える」「要点をまとめて効果的に質問する」など、説明や質問のスキルが求められます。
会計士に向いている人
地道に継続できる人
公認会計士に向いているのは、コツコツと作業を続けることができる人と言えます。
なぜなら、以下の業務への従事が求められるからです。
- 地味な監査調書の作成など、地道な業務に耐えることが必要です
- デスクワークが中心の業務を持続できることが求められます
- 専門家として真面目に仕事に向き合えることが重要です
ロジカル思考がある人
公認会計士に向いている性格の特徴として、ロジカルな思考力が挙げられます。
業務上、物事を感情や主観ではなく、論理的に基準を解釈する能力が求められるためです。
営業力がある人
予想外かもしれませんが、公認会計士には営業力があると非常に役立つ場面もあります。
通常、一般的な会計士の営業活動は、顧客を口コミで得て、徐々に人脈を広げてから行うことが多いです。
将来的に独立起業やフリーランスとして活動する計画を考えている場合は、自ら顧客を獲得する営業力が不可欠です。
価値提供をしたい人
通常、会計士は主に監査業務を担当しているとされていますが、経営コンサルタントなどの選択肢を考える場合、「価値提供」が必要です。
成長意欲や好奇心がある人
公認会計士に向いているのは、成長意欲や好奇心がある人です。以下のような特徴に当てはまることはありませんか。
- 挫けずに勉強を続けられる
- 理由をつけて逃げ出さない
- 1回の失敗では諦めない など
ご参考に、公認会計士(CPA)の仕事内容や活躍できる職場について、更に詳しく知りたい場合は「公認会計士とは?仕事内容や魅力、活躍の場について解説!」の記事をご覧ください。
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経理と会計士に関連する資格
資格がなくても働ける経理
日商簿記
未経験から経理に転職する際に求められるスキルの一つは、日商簿記検定です。
この検定を取得することで、経理業務に必要な知識を持っていることを証明できます。
MOS
MOS(Microsoft Office Specialist)検定は、Microsoft社が提供しているMicrosoft Officeに関する国際的な資格です。
基本的には経理の仕事であっても、WordやExcelを使う機会は多いことこもありMOS資格を取得することは経理の実務において有益です。
資格がないと働けない会計士
公認会計士(CPA)
公認会計士と経理の主な違いは、資格の有無にあります。
経理の仕事には特別な資格がなくても就業できますが、公認会計士になるには公認会計士資格が必要です。
経理と会計士のキャリアプラン
経理のキャリアプラン
経営に携わる上位職につく
経理から経営にかかわる経営企画や役員を目指すキャリアプランは、経理の仕事が直接経営判断に影響する数字に関わる業務であるために成り立っています。
数字を通じて自社や取引先の経営状態を理解し、経営層を直接支援するためには、高度な能力が求められます。
中小企業で経験を経て大企業の経理へ転職
経理の仕事は、企業の規模や発展段階によって担当できる業務が一定程度決まっています。
一般的には中小企業よりも大企業のほうが良いとは言えませんが、中小企業で働くことで経験を積み、実務スキルを身につけた後、大企業に転職するというキャリアプランもあります。
資格を取得し税理士や会計士として独立開業
仕事で経理業務の実務経験を積みながら、上位の資格を取得し、最終的には独立開業を目指すキャリアプランがあります。
外資系企業に転職
経理職として国際的な舞台で活躍したいと考える方もいるでしょう。
その場合、外資系企業への転職がキャリアプランの一環として選択されることがあります。
会計士のキャリアプラン
監査法人
良く知られた事実ですが、多くの公認会計士が集まる法人です。
この法人は、会計監査を含むさまざまな非監査業務を提供しています。
一般的にはBig4(ビッグフォー)と呼ばれ、大手監査法人、準大手監査法人、中堅監査法人、中小監査法人などの組織規模で分類されます。
大手監査法人は主に超大手企業をクライアントに持ち、法人の規模とクライアントの規模が強く関連しています。
会計事務所・税理士法人
公認会計士は税理士として登録できるため、公認会計士が会計事務所や税理士法人で働くケースもよく見られます。
独立開業を目指す人にとっては、将来的なステップとして考えられるでしょう。
コンサルティングファーム
公認会計士にとって馴染み深いのは、Big4系のFAS(KPMG FAS、EYTAS、DTFA、PwCアドバイザリー)です。
アドバイザリー業務とコンサルティング業務の区別は難しいですが、IFRS導入アドバイザリー、内部統制構築アドバイザリー、M&A関連サービス、IPO支援などが、
公認会計士が活躍しやすい分野です。
USCPAを取得しておけば、さらに活躍の場はひろがるでしょう。
大手上場企業
一般企業の中でも、特に大規模な上場企業では、公認会計士がさまざまな分野で活躍できます。
主な職務には、経理職があり、これには決算業務、国内・海外連結、有価証券報告書の作成、IFRS対応、J-SOX対応、経理業務の改善などが含まれます。
独立開業・起業
公認会計士は税理士登録も可能で、この資格の魅力の一つは独立開業ができることです。
公認会計士事務所を開業することもできますが、経営の安定を図るためには税務業務のクライアントを確保することが望ましいため、多くの人は会計事務所や税理士法人での経験を積んでから独立開業に踏み切ります。
経理から税理士や会計士を目指す方法
アルバイトをしながら勉強
アルバイトは確かに勉強を優先させる意味では時間の融通を利かせやすいですが、税理士の資格取得が独学だと非常に難しい側面もあります。
特に税理士資格は平均5年と言った期間を必要となりますので、勉強をすすめるためにかかる費用を、学費や生活費をアルバイトだけで賄うという選択肢は非常に難しいと言えるでしょう。
一般企業に勤めつつ勉強
実は、事業会社などの一般企業に勤めながら、税理士や公認会計士の資格取得を目指すのは、あまり条件が良いとは言えません。
特に経理や税務以外の職種で働いている場合、本業に関係ない資格のために時間の融通をきかせてくれる企業は多くありません。
理解のある企業であるならば問題ありませんが、仕事が忙しくなれば業務が優先される可能性が高くなるので勉強が二の次になりがちです。
税理士事務所に勤務しつつ勉強
税理士試験は科目合格制度があり、1つ1つの科目合格を積み上げて5科目合格を目指せばいいので社会人でも取り組みやすいとされていますが、仕事と勉強の両立は容易ではありません。
しかし、最近では税理士試験をサポートする制度を提供する会計事務所や税理士法人が増加しています。 受験に向けて、勉強しやすい環境に転職することも効果的な手段です。
実際、税理士事務所や税理士法人も経験のある税理士を採用するのは非常に難しくなってきており、人材不足を補完するため税理士科目を持った人たちを育てていこうと未経験者も含め採用計画を立てているケースも増えています。
また、所長税理士や税理士の方であれば資格取得のための学習がどれほど大変かを理解していますので、受験生の気持ちを理解していることから資格取得を目指している人に対してもサポートする会計事務所が増えているのです。
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投稿者情報
- 公認会計士資格を取得しており、現役で公認会計士として仕事をしています。税理士資格も持っていますので、財務、会計、税務、監査などの専門的な業務経験も豊富にあります。ライターとして5年以上執筆しており、専門的でリアルな内容が好評いただいています。
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