
公認会計士とは?仕事内容や魅力、活躍の場について解説!
2023/11/01
公認会計士は、会計におけるプロフェッショナルであり、監査業務やコンサルティングを担います。国家資格の中でも、難易度が高いといわれる公認会計士ですが、その分、待遇や年収の良さに魅力を感じている方も多いでしょう。実際、毎年多くの人が公認会計士試験に挑戦しており、合格者は様々な舞台で活躍しています。今回は、公認会計士の仕事内容や魅力、試験について解説していきますので、これから公認会計士を目指す方は、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
公認会計士とはどのような仕事?
公認会計士は、会計監査と税務を行う専門家であり、国家資格を必要とする仕事です。
会計に関する資格は、公認会計士以外にも簿記検定や社会保険労務士など様々な種類がありますが、その中でも最高峰とされています。弁護士や医師に並ぶ最難関クラスの国家資格として、一目を置かれる存在です。
企業が公正な事業活動を行う上で必要な財務諸表監査は、公認会計士の独占業務となっています。財務諸表監査によって企業の信頼度が上がると、投資者や債権者の保護にも繋がるため、資本主義経済において大変重要度の高い仕事です。
公認会計士の仕事は「監査・税務・コンサルティング」
公認会計士が担う主な仕事は、以下の3つです。
- 監査
- 税務
- コンサルティング
前述の通り、最も重要な仕事として独占業務でもある財務諸表監査を浮かべる方が多いのではないでしょうか。併せて、税務やコンサルティングも企業にとって大切な仕事であり、専門的なスキルが問われます。
続いては、公認会計士の仕事内容を、業務別に詳しく見ていきましょう。
監査に関わる業務
企業に限らず、団体や行政機関が正当な業務を行っているかを確認することを監査といいます。
監査業務は、株主や債権者などの利害関係者に対する保証としても重要な業務です。監査は、内部監査や業務監査、環境監査など、目的によって担当する専門家や基準が異なります。
公認会計士が行うのは会計監査であり、企業が作成した決算書が会計基準に基づいたものであるかを確認する仕事です。
会社法では、資本金が5億円以上もしくは負債金額が200億円以上ある大企業や指名委員会等を設置している企業、監査等委員会設置会社に対して、公認会計士の監査が義務付けられています。
また、対象外の企業でも任意で監査を受けることができるため、株主や債権者に対する信頼度を上げるために受けるケースも少なくありません。決算書に公認会計士による適正意見が付いているとお墨付きということになり、企業や団体の信頼度が増します。
税務に関わる業務
公認会計士は試験科目に租税法が含まれていることから、税理士登録も可能です。そのため、税務に関わる業務も公認会計士の主な仕事として挙げられます。税務業務で行う業務は、各種税務書類の作成や確定申告、相続申告などの税務代理です。
税に関する規定は大変複雑で、知識がないと損をすることも少なくありません。公認会計士や税理士は、こうした税務を熟知したプロフェッショナルです。企業側は税務業務を代行させることにより起こり得るトラブルを避け正しく節税できます。
公認会計士と税理士の違いは、下記のページで詳しく解説しています。
税理士と公認会計士、資格取得するならどっちがおススメ?目指す前に違いを知ることが大切
コンサルティングに関わる業務
公認会計士はその高い知識やスキルを生かして、会計アドバイザリーや事業再生アドバイザリーなど、コンサルティング業務を担うことがあります。
会計アドバイザリーとは、財務諸表作成を効率的に行うためのアドバイスを行う仕事です。
財務諸表は事業報告のために作成する書類で、投資家や債権者などに経営成績の開示に必要なものです。そのため企業が持続して成長し、経営基盤を固めるための指標にもなります。
公認会計士は、企業の責任者に企業が陥りやすいリスクを回避し、収益性を上げるための施策をアドバイスができます。
一方、事業再生アドバイザリーは経営状況が悪くなった企業をサポートし、事業の再生を図ることを目的としています。コンサルティング業務には特別な資格は不要ですが、公認会計士のスキルがあれば信頼度が高いためクライアントも安心して依頼できるでしょう。
公認会計士がコンサルティングを担う場合、コンサルティングファームに就職するケースがほとんどです。
コンサルティングファームと一括りにしても、会計・財務に特化するケースや企業・事業再生系を専門に行うなど、組織によって守備範囲が異なります。いずれにしても、公認会計士のスキルや知識が重宝される業界です。
公認会計士の年収は高い傾向
公認会計士の年収は全国平均よりもかなり高めです。
政府の統計ポータルサイトであるe-Start「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、税理士を含む公認会計士の平均年収は約785万円という結果が出ています。
また国税庁の「令和2年分 民間給与実態統計調査」では、給与所得者の平均年収が433万円という調査結果がでており、公認会計士がいかに年収の高い職種か分かるでしょう。
さらに、初年度の年収も平均値より高く、500万円程度です。まさしく、難しい試験を突破した人だからこそ得られる初任給といえるでしょう。初年度以降、キャリアアップとともに年収は上がっていき、多い人になると1,000万円を超えるケースも少なくありません。
公認会計士の就職先として、監査法人だけではなく、企業に属すケースもあります。年収で見ると、企業に所属している公認会計士の方が、監査法人に務めるよりも年収が高めです。公認会計士の年収については、以下の記事で詳しく解説しています。
公認会計士の年収額はどれくらい?年代・勤務先の年収の違いまで徹底解説!
※出典:e-Start「賃金構造基本統計調査 / 令和3年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」
国税庁「令和2年分 民間給与実態統計調査」
大卒じゃないと資格を取得できない?
高卒でも問題なく公認会計士試験に挑戦できます。非常に難易度が高く狭き門ではありますが、合格すれば大卒で得られる年収を目指すことが可能です。
国家資格の多くは大卒以上の学歴を求められますが、公認会計士は誰でも受けられる資格試験です。受験条件を見ると学歴や年齢、国籍などの制限がありません。
キャリアアップを積めば大卒以上の年収も期待できるため、挑戦しがいがある資格といえるでしょう。
高卒で公認会計士を受けることについては、下記のページで詳しく解説しています。
高卒でも公認会計士になるのは可能?
【注意】公認会計士の試験は難しい
公認会計士になるためには、国家資格である公認会計士試験に合格しなければなりません。誰でも受けられる試験ですが、非常に難易度が高いのが特徴です。では、公認会計士の試験はどのくらい難しくて、難易度を引き上げている原因は何なのでしょうか。
続いては、公認会計士の試験における「難易度」「勉強時間」「学歴」について、詳しく解説します。
試験の難易度
公認会計士の試験は、医師や弁護士と並ぶ国家三大資格の1つです。難易度は非常に高く、2021年度の合格率は9.6%でした。難易度の高さは、試験範囲の広さが影響しています。
公認会計士試験は、短答試験4科目と論文試験6科目で構成され、それぞれの科目を同時進行で学ばなければなりません。その分、試験勉強にかける時間は膨大になり、概要を把握するだけでも一苦労です。
また、問題が複雑な上に出題数も多いため、単純に暗記しただけでは合格できません。
とはいえ、医師や弁護士の資格を取得するためには、医大や法科大学院で学ぶケースがほとんどであり、これらの資格と比較すると公認会計士は挑戦しやすいといえるかもしれません。
※出典: 公認会計士・監査審査会
必要な勉強時間の目安
前項で触れたように、公認会計士試験は試験範囲が広く、簡単に受かる試験ではありません。合格するためには、約4,000時間の勉強時間が必要とされています。
1年間で合格を目指すのであれば、単純計算しても1日10時間程度の勉強が必要です。受験生の多くは、大学や仕事に行きながら公認会計士を目指しているため、毎日10時間もの勉強時間を確保できません。
そのため、勉強期間の目安を2〜3年程度に設定している方がほとんどです。公認会計士試験の勉強だけに時間を費やせるのであれば、1〜1.5年の勉強期間で合格するケースもあります。
試験内容のうち、最もボリュームが多いのが財務会計論です。
財務会計論は、簿記計算や会計基準について学ぶ科目で、公認会計士の独占業務である監査を行う上で必要な知識になります。他の科目よりも圧倒的に覚える量が多いため、最も勉強時間がかかる科目でもあります。
試験が終了してもやることがある
難易度の高い公認会計士試験ですが、合格したからといってすぐに公認会計士になれるわけではありません。試験に合格した後、公認会計士名簿に登録するまでにはステップがあります。試験終了から登録までの流れは以下の通りです。
- 業務補助または実務従事の期間が通算2年以上
- 実務補修を修了
- 修了考査に合格
公認会計士が活躍できる職場は?
公認会計士の仕事内容は多岐に渡ることから、活躍する職場の幅も多くあります。主な職場として挙げられるのが、以下の3つです。
- 監査法人
- 会計事務所
- コンサルティングファーム
公認会計士試験に合格した人の多くが初めに就職するのが監査法人です。監査法人では、公認会計士法に基づいた会計監査を行っています。会計監査とは、企業が作成した決算書が公正なものであるかどうかを意見表明する業務です。
監査法人の他に、多くの公認会計士が活躍している現場として会計事務所が挙げられます。会計事務所の主な業務は、税務申告や経理処理の代行です。
そしてコンサルティングファームでは、企業が持つ経営や事業戦略に関する課題に対してアドバイスを行い、解決するまでのサポート業務を行っています。
近年は、ジャンルの垣根を超えて幅広い知識が求められるケースが増えており、公認会計士としてステップアップしたスキルを大いに活かせる現場といえます。
公認会計士の4つの魅力
公認会計士になるまでの道のりは険しく簡単ではありませんが、毎年公認会計士試験に挑む受験者が大勢います。それだけ、公認会計士にはメリットがあり、魅力的な仕事といえるでしょう。続いては、公認会計士の魅力を以下の4つに分けて解説します。
- 将来性がある
- 平均収入が高い
- 性別関係なく活躍できる
- 社会からの信頼度が高い
将来性がある
公認会計士が担う業務は、業界問わず必要とされる内容ばかりです。
近年AIが発達し、会計における単純な業務のシステム化が進んでいます。結果として、日々発生する大量の業務に労力をかけず、効率的に進められるようになりました。
そんな中で、公認会計士の仕事には依頼者からの相談に対するアドバイスも含まれます。
つまり、コミュニケーションを必要とする仕事であり、AIが全てを担うことはできません。AIと分業できるようになったため、より一層コミュニケーションに力を入れやすくなるといった見方もできるでしょう。
また、内部統制の重要性が叫ばれる中で、監査業務がより厳しくなっています。さらに、ベンチャー企業が上場するケースも増えているため、公認会計士は不足傾向であり、売り手市場が続いているのが現状です。
平均収入が高い
公認会計士が人気の理由として外せないのが、平均収入の高さでしょう。初年度は500万円程度の年収ですが、キャリアアップをしていくと最終的に1,500万円以上も夢ではありません。中には、5,000万円以上といった高年収を得るケースもあるほどです。
経理業務をするだけではなく、コンサルタントとして多くの経営者にアドバイスをすることは、簡単なことではありません。その分しっかりと報酬が得られる公認会計士は、高度なスキルを活かして高収入を得たい方に向いている職業といえます。
性別関係なく活躍できる
誰もが平等に生きられる社会が求められている中、いまだに男女格差が開く業界も少なくありません。しかし、公認会計士は女性も能力を発揮しやすい職種です。
公認会計士として認められれば、給与を含めた待遇面において男女差がないため平等に働けます。また、昇進の際も、性別や年齢による差がほとんどないのが特徴です。近年は、育児や家事と両立できるように配慮された法人も多く、働きやすい点も魅力的です
社会的な信頼度が高い
三大国家資格の1つである公認会計士は、非常に難易度が高く、限られた人がなれる職業です。のため社会からの信頼度が高く、一目を置かれる存在といえるでしょう。経済界では公認会計士が持つ高度なスキルや専門性を評価され、最高峰の国家資格と認識されるほどです。
特に、監査業務は公認会計士だけに許されている独占業務であり、医師や弁護士と並ぶ資格ともいえます。資格取得後には、税理士や行政書士として働くこともできる点も、信頼される所以でしょう。
仕事は大変だが多岐にわたる選択肢が魅力
公認会計士の仕事は大変そうだというイメージを持たれる方が多いかもしれませんが、単に大変なだけの仕事ではないことは確かです。
なぜなら、公認会計士の資格を持った人しか経験のできないことが多いからです。公認会計士の資格を得た人にとっては、他の資格では味わえないやりがいや達成感を得られるという、何物にも代えがたい魅力があります。
公認会計士の資格を取得するためには困難な道を乗り越えなくてはなりません。
しかし、晴れて公認会計士試験に合格すると、将来を彩るほどの魅力ある選択肢が広がっていますので、公認会計士を目指しているのであれば将来像をしっかりとイメージし、モチベーションを維持しながら頑張ってください。
投稿者情報

- 税理士や公認会計士、会計業界に関する記事を専門に扱うライター。会計業界での執筆歴は3年。自身でも業界についての勉強を進めながら執筆しているため、初心者の方が良く疑問に思う点についてもわかりやすくお伝えすることができます。特に業界未経験の方に向けた記事を得意としています。
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