公認会計士試験は免除制度を最大活用で合格まで期間短縮!徹底解説します!
2023/11/01
超難関国家資格としても有名な公認会計士の試験には、一定の条件を満たした場合に適用される免除制度があります。しかも、複数の免除制度が用意されていることはご存知でしょうか。
試験科目数の多く「質」の難易度が高いといわれている公認会計士試験ですから、同時に受けなければならない科目が1科目でも少ないほうが合格しやすいということは間違いありません。
ですから、免除の条件に当てはまる場合には活用することをおすすめいたします。
まずは、どのような条件に当てはまると、どのような免除を受けられるのか、詳細をあらかじめ把握しておきましょう。
1科目でも受ける科目が少なくなれば、試験対策にも余裕がでてくるのではないでしょうか。
この記事では、公認会計士試験の免除制度について詳しく解説いたしますので条件に該当するのかを含め、ご検討ください。
コンテンツ目次
公認会計士試験の免除制度とは?
公認会計士の試験免除制度には、短答式試験免除と論文式試験免除の2種類あります。
短答式試験の免除とは、短答式試験を受けることなく論文式試験からスタートできるというものです。短答式試験に合格したことで短答式試験の全科目が免除されるケースの他に、学歴や取得資格により短答式試験科目の一部が免除または全部が免除されるケースがあります。
一方、論文式試験の免除とは、論文式試験の一部科目について、受けなくても合格相当の点数を取ったのと同じように扱うというものです。学歴や取得資格により免除されるケースの他に、公認会計士・監査審査会が特別に期間限定で免除を認めるケースがあります。いずれの免除も適用を受けるためにはあらかじめ申請が必要で、出願時には免除通知書のコピーを添付しなければなりません。
関連記事:「会計大学院に通うと試験が免除される?会計大学院のメリットとデメリットとは」
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短答式試験の免除制度を詳しく!
短答式試験が免除されるケースとしては、まず、短答式試験に合格したことによる免除があります。合格した短答式試験と同じ年度の論文式試験に合格できなかった場合でも、翌年とその次の年の2年間は、短答式試験を受けずに論文式試験からスタートできるという優遇措置です。
他にも短答式試験が全部免除されるケースと一部免除されるケースがあります。全部免除されるのは、学歴が一定基準以上の場合、高等試験本試験の合格者の場合、司法試験の合格者または旧司法試験の2次試験の合格者の場合です。
それに対して、一部科目が免除されるのは税理士の資格を有し、なおかつ一定以上の成績を収めたことが証明できる場合、会計大学院で一定の科目に関する研究を行い、修得・修了証明書を提出できる場合、内閣府令で定める法人で7年以上の会計事務の実務経験を積んだことを証明できる場合などです。
税理士資格と企業の会計事務担当者としての実務経験で免除される科目は財務会計論ですが、会計大学院の修得・終了によって免除を受けられる科目は財務会計論の他に会計管理論や監査論にも及びます。
関連記事:「公認会計士の試験は9科目!内容と学習方法をマスター」
論文式試験の免除制度を詳しく!
論文式試験の免除制度の免除基準と免除科目は以下の通りです。
- 大学などで商学に属する科目の教授や准教授などの職に3年以上就いていていた場合や商学に属する科目の研究で博士の学位を得た場合には会計学及び経営学が免除されます。
- 大学などで法律学に属する科目の教授や准教授の職に3年以上就いていた場合や法律学に属する科目の研究で博士の学位を得た場合には企業法及び民法が免除されます。
- 高等試験本試験の合格者の場合、高等試験本試験で受験した科目が免除されます。なお、商法で受験した場合には企業法が免除科目になります。
- 司法試験の合格者の場合は企業法及び民法が免除科目になります。
- 旧司法試験の第2次試験合格者の場合は、旧司法試験の2次試験で受験した科目が免除科目になります。なお、商法または会計学で受験した場合には、企業法または会計学が免除科目になります。
- 大学などで経済学に属する科目の教授や准教授の職に3年以上就いていた場合や経済学に属する科目の研究で博士の学位を得た場合には経済学が免除科目になります。
- 不動産鑑定士試験の合格者や旧鑑定評価法による不動産鑑定士試験の第2次試験の合格者の場合は、経済学または民法が免除科目になります。
- 弁護士以外の資格で税理士となる資格を有する場合には租税法が免除の対象になります。
- 実務経験において公認会計士・監査審査会が必要な学識や応用能力を有すると認めた場合は、実務の内容により会計学または監査論が免除科目になります。
- 旧公認会計士試験の第2次試験論文式試験において免除が認められていた場合には、免除を受けた科目が免除科目になります。なお、商法で免除を受けていた場合には企業法になります。
会計大学院に通えば免除される?詳細は「会計大学院に通うと試験が免除される?会計大学院のメリットとデメリットとは」で紹介しています。
具体的な手続き方法を知りたい!
免除の申請は通年受付が行われていますが、願書の提出時に、免除通知書のコピーを添付する必要があるため、願書提出期限に間に合うように申請を行う必要があります。
免除申請は、書面またはインターネットで行います。
書面による申請を行うときは、申請書をダウンロードして使用します。提出方法はホームページに指定されているように封筒の表書きを書き、長形3号の返信用封筒を同封して送ります。返信用封筒には簡易書留または特定記録郵便扱いになるよう明記したうえで必要金額の切手を貼ります。
インターネットによる免除申請については、短答式試験のたびに配布される受験案内に詳細が記載されています。添付書類は免除基準ごとに異なるため、公認会計士・監査審査会のホームページで確認が必要です。
申請後には審査!何を審査するの?
免除の申請を行った後は、添付書類に基づき免除基準に該当するかどうかの審査が行われます。
例えば、大学の教授や准教授の職に就いている場合や博士の学位を得ていることが免除基準になっている場合には、研究の分野等が科目の免除に値するかどうか、既定の年月に該当するかなどを確認します。
もしも審査に必要と判断された場合には、申請者に対して直接記載内容の確認が行われたり、追加書類の提出が求められたりします。
免除制度はどこまで認知されている?
最後に、どれくらいの人が公認会計士試験の免除制度について知っているのかを調べてみました。
【質問】 | 公認会計士試験は条件をクリアしていれば試験の免除を受けられることを知っていましたか? |
【回答数】 | 知っていた:44 知らなかった:156 |
調査地域:全国
調査対象:【年齢】20歳以上の男女
調査期間:2017年03月07日~2017年03月14日
有効回答数:200サンプル
免除制度の認知度はまだまだ低い
アンケートの結果、知らなかったと答えた人が全体の8割近くを占めました。まだまだ認知度が低いことがわかります。
- 9科目の試験を受けずに済む条件なのだからとても難しいものだと思う。(30代/専業主婦・主夫/女性)
- 必ず試験を受ける必要があると思っていた。(20代/会社員/男性)
- 公認会計士という会計のプロになるためには、すべての試験をクリアしてからでないと、公認会計士になれないと思っていた。(30代/会社員/女性)
- 知りませんでした。何点か免除してもらえるんですかね。知って損は無い制度ですね。(30代/無職/女性)
知らなかったと答えた人のほとんどが、「これまで公認会計士の試験について詳しく調べたことがなかった」というコメントでした。しかし、「公認会計士のような資格はすべての科目で合格した人しか取得できないと思っていた」という意見も多く見られました。一方、知っていたと答えた人のコメントは次の通りです。
- 受験を検討した際に、一定条件が整えば試験科目が免除になる事も知りました。(40代/会社員/男性)
- 公認会計士の試験より難しい資格に合格している人は免除されるのだと理解しています。(40代/パート・アルバイト/女性)
- 友人に公認会計士がいて、色々と聞いていたので。(20代/会社員/女性)
知っていたと答えた人は、自分自身が公認会計士試験の受験を検討したことがある人、あるいは公認会計士や公認会計士試験の受験者が周りにいる人がほとんどでした。免除制度があることは知っているものの、詳しい条件は知らないという人が目立ちます。
免除制度の認知度は、具体的に受験を検討したかどうか、周りに公認会計士や公認会計士の受験者がいるかどうかという点に大きく左右されることがわかりました。ですから、せっかく条件がクリアできていても、受験の検討に至っていないケースもあることがうかがえます。免除制度をいかに周知させるかが今後の課題になるでしょう。
免除制度にデメリットはあるのか?
公認会計士の免除制度を利用するかを判断する際にわすれていけないのは免除制度のデメリットです。
公認会計士試験では、短答式の具各基準は総得点数によって合格か不合格かが決まります。ということは、試験免除された科目の得点の扱いはどうなるのでしょう。試験免除された科目については、平均点で判定されることになります。もし、得意とする科目が免除された場合、不得意な科目での受験を余儀なくされ、逆に得点が下がってしまうというようなリスクがあります。
税理士の資格を有する方、税理士試験の簿記論及び財務諸表論の科目合格者または免除者、会計または監査の実務経験者などは、短答式の財務会計論が免除されますが、論文式試験の財務会計論は受験する必要がありますので、勉強する時間自体は軽減できるとは考えられますが、論文式試験のために財務会計論の勉強をする必要はでてきます。
これらのリスクを踏まえて免除されることが合格に向けて有利に働くのか、または、不利になるかもしれないなら、免除せずに試験に望むことも選択肢の1つです。
免除制度を利用される際には、メリット・デメリットを踏まえ、よく検討しましょう。
結論!試験免除は活用するべき!
短答式試験がすべてが免除されるのは下記の場合です。
・商学または法律学の博士号取得者
・司法試験の合格者
・旧司法試験第2次試験の合格者
上記に該当する場合は、論文式試験のみとなりますので、公認会計士試験に挑む上でとても有利になります。
また、会計大学院の修士学位取得者も財務会計論、管理会計論、監査論の3科目が免除されるため、、企業法のみに注力すればいいわけです。
このようなケースに該当する人は、短答式試験免除の恩恵が高いため、試験免除を活用されることをお勧めいたします。
基本的には、得意な科目が試験免除となって平均点扱いとなったとしても、試験勉強を進める上でも受験科目を減らした方が負担が減ることになるのと、不得意科目であっても勉強に集中できることから平均点を上げられる可能性も高くなると思いますので、試験免除は有効に活用したほうがいいでしょう。
まとめ
公認会計士試験には短答式試験にも論文式試験にも免除制度が設けられています。ただし、試験科目の免除は公認会計士に必要な学識や応用能力が確実にあると認められた人にのみ例外的に与えられる権利ですから、申請をしたうえで審査を受ける必要があります。
しかし、免除を受けられると試験勉強の負担が大幅に軽減されるため、合格しやすくなることは間違いありません。ですから、免除の対象かどうかがわかりにくい場合には、基準に達しているかを確認してみるようにしましょう。
関連記事:「公認会計士の試験突破に!試験にまつわる基礎知識まとめ」
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投稿者情報
- 公認会計士資格を取得しており、現役で公認会計士として仕事をしています。税理士資格も持っていますので、財務、会計、税務、監査などの専門的な業務経験も豊富にあります。ライターとして5年以上執筆しており、専門的でリアルな内容が好評いただいています。
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