公認会計士の試験は免除制度で合格を勝ち取る

公認会計士試験の免除制度を徹底解説!条件や申請方法をわかりやすく紹介

公認会計士の資格は広く知られており転職にも役立つものですが、実は試験に免除制度があることはあまり知られていません。これから受験を考えている方の中にも、その存在を知らない方がいらっしゃるようです。
もし試験科目が減れば、その分、試験対策にも余裕が生まれます。公認会計士試験を目指すなら、ぜひこの免除制度についても確認しておくことをおすすめします。この記事では2025年現在の情報をお伝えします。

公認会計士試験の免除制度とは?

公認会計士試験は専門性が高く難易度も高いため、多くの受験生が合格まで長期にわたる学習を必要とします。
しかし、特定の条件を満たす受験生には試験科目の免除制度が設けられています。この制度を活用すれば、より効率的に公認会計士資格の取得を目指せるでしょう。

公認会計士試験の免除制度とは、受験生が特定の条件や資格を有している場合に、試験科目の一部が免除される仕組みです。
この制度は、既に高度な知識や技術を持つ方が、同じ内容の試験を再度受験する手間を省き、専門的なキャリアを積んできた方がスムーズに公認会計士として活動を始められるよう設けられています。ただし、免除制度を利用し免除資格を得るには一定の条件を満たす必要があります。

短答式試験の免除

公認会計士試験の短答式試験には、多様な免除要件が設けられています。

全科目免除の条件

  • 大学などで商学または法律学関連の教授・准教授として3年以上の経験がある
  • 商学または法律学関連の博士号を取得している
  • 高等試験(司法科・行政科)の合格者
  • 弁護士などの司法試験合格者または旧司法試験第二次試験の合格者

一部科目免除の条件

  • 税理士資格を保有している場合(一部科目免除)
  • 税理士試験の簿記論と財務諸表論の2科目で60%以上の得点を獲得している場合(財務会計論が免除)
  • 会計専門職大学院で特定の科目数を修了し、修士の学位を取得している場合(取得科目により免除科目が異なる)
  • 条件を満たす監査法人などで会計または監査関連業務に7年以上従事している場合(財務会計論が免除)

なお、免除を申請する条件によって、必要な書類が異なるためご注意ください。

論文式試験の免除

公認会計士試験の論文式試験は、全科目ではなく一部科目のみ免除が可能です。

主な免除要件は以下の通りです。

  • 大学等で商学の教授または准教授として3年以上の経験、または会計学・経営学における博士号を持つ場合
  • 大学等で法律学関連の教授または准教授として3年以上の経験、または企業法・民法における博士号を持つ場合
  • 高等試験本試験合格者(合格科目による)
  • 司法試験の合格者(企業法・民法)
  • 旧司法試験第二次試験の合格者(合格科目による)
  • 大学等で経済学関連の教授または准教授として3年以上の経験、または経済学における博士号を持つ場合
  • 不動産鑑定士試験合格者、または旧鑑定評価法の規定による不動産鑑定士試験第二次試験合格者(経済学または民法)
  • 税理士資格を持つ場合(租税法)
  • 企業会計に関する一定以上の能力認定者(会計学)
  • 監査に関する一定以上の能力認定者(監査論)

なお、論文式試験の免除申請においても、該当する要件ごとに必要書類が異なるため、事前に確認が必要です。

転職を成功させるための
ノウハウが知りたいなら

「会計求人プラス」

転職成功のポイントを押さえて、理想のキャリアを築きませんか?会計業界に特化した「会計求人プラス」の転職エージェントがあなたの希望に合った求人を見つけ、成功へのステップをサポートします。

免除制度の申請方法

必要書類の準備

短答式試験の免除条件と必要書類

短答式試験の免除は、主に学歴や専門的な職務経験が対象です。必要書類としては、卒業証明書や成績証明書などの学歴を証明する書類、または在職証明書など職務経験を示すものが考えられます。

論文式試験の免除条件と必要書類

論文式試験の免除は、短答式試験とは異なり、主に専門的な資格や研究成果が対象となります。必要書類としては、資格証明書や研究論文の掲載情報を示すものなどが求められるでしょう。

免除制度の具体的な申請方法については、公認会計士試験の公式ページ(公認会計士・監査審査会)でご確認ください。

免除申請

提出方法は、主に郵送とインターネットの2種類です。

郵送で申請する場合

封筒の表に「公認会計士試験 免除申請書在中」と赤字で明記してください。郵便料金が不足している場合は受理されないため、注意が必要です。
また、ご自身の住所を明記した返信用封筒を同封してください。返信用封筒は、おおむね120mm×235mm(長形3号)のサイズで、必要な郵便料金分の切手を貼り、簡易書留または特定記録郵便扱いにしてください。

インターネットで申請する場合

短答式試験の受験願書と一緒に配布される受験案内に詳細が記載されています。

審査

      
提出された書類をもとに、免除基準を満たしているかどうかの審査が行われます。この過程で、研究内容に関する問い合わせがあったり、追加書類の提出を求められたりすることもあり、免除が認められるまでに時間がかかる場合があります。

証明書類などを揃える時間も考慮し、できるだけ早めに準備を始めると良いでしょう。

審査に時間がかかる場合があるので、出願までに余裕を持って申請しましょう。郵便料金不足や返信用封筒の不備など、提出方法に不備がないか十分注意してください。

転職を成功させるための
ノウハウが知りたいなら

「会計求人プラス」

転職成功のポイントを押さえて、理想のキャリアを築きませんか?会計業界に特化した「会計求人プラス」の転職エージェントがあなたの希望に合った求人を見つけ、成功へのステップをサポートします。

免除制度を利用するメリット・デメリット

試験免除のメリット

受験科目が減ることで、試験勉強の負担は確実に軽くなります。免除された科目分の時間を他の科目に充てられるため、試験対策にゆとりが生まれるでしょう。

試験免除のデメリット

公認会計士試験では、通常、総得点で合否が決まりますが、試験免除を受けると、各科目の平均点で判定されます。そのため、得意科目が免除された結果、苦手な科目ばかりが残り、平均点が下がってしまうリスクがあるでしょう。

例えば、税理士資格保持者、簿記論・財務諸表論の科目合格者、会計実務経験者などは、短答式試験の財務会計論が免除されます。しかし、論文式試験の財務会計論は受験が必須です。したがって、勉強時間は減らせるものの、論文式試験のために財務会計論の学習は続ける必要があります。

一部免除に該当する場合は、これらの点を考慮し、本当に試験免除が有利になるのかを慎重に検討することが大切です。場合によっては、あえて試験免除を利用しないという選択肢も視野に入れておくとよいでしょう。

転職を成功させるための
ノウハウが知りたいなら

「会計求人プラス」

転職成功のポイントを押さえて、理想のキャリアを築きませんか?会計業界に特化した「会計求人プラス」の転職エージェントがあなたの希望に合った求人を見つけ、成功へのステップをサポートします。

免除制度を利用する際の注意

公認会計士試験の免除制度は非常に役立ちますが、その分、適用条件は厳しくなっています。ここでは、免除制度を利用する際の注意点について説明します。

必要書類は時間に余裕をもって準備する

公認会計士試験の免除制度を利用するには、該当する要件に応じた書類の提出が必須です。

免除申請時、あるいは出願時に書類に不備があると、手続きが滞ってしまうので注意しましょう。

また、先述したように、試験合格の有効期間は2年間です。一度合格したからといって油断していると、有効期間が過ぎてしまう可能性もあります。

公認会計士試験の免除制度は非常に役立つものですが、その分厳格性も高いです。せっかく使える制度を適切に活用できるよう、書類の準備と期限には細心の注意を払ってください。

試験免除通知書を紛失してしまった場合

一度免除申請をすれば、その後は出願のたびに再申請は不要で、同じ通知書の写しを使えます。

しかし、免除通知書や試験合格の通知書を紛失してしまうこともあるかもしれません。必要な書類がないと、免除申請が受けられないのではと不安に感じるでしょう。
確かに、試験免除通知書や合格通知書は再発行できません。ですが、各種証明書を発行できるため、それを使えば問題なく科目免除の手続きを行えます。

証明書の発行には、申請書と所定の本人確認書類、そして返信用封筒を用意するだけです。通知書を紛失してしまっても、慌てずに証明書の発行申請手続きをしてください。

免除申請から通知書が届くまで少し時間がかかる

科目免除の申請から通知書が届くまでには、全科目・一部科目ともにある程度の時間が必要です。
申請中は、許可されないのではないかと不安に感じる方も少なくないでしょう。

しかし、公認会計士試験の免除は要件が明確なため、要件を満たしていれば不許可となることはほとんどありません。書類の確認に時間はかかりますが、過度な心配は不要です。出願時に免除通知書か証明書があれば、問題なく試験免除を受けられます。

ただし、申請が遅れて通知書の発行が間に合わず、結果として免除を受けられない可能性はあります。せっかく免除の要件を満たしていても、申請の遅れで機会を逃すのはもったいないことです。免除申請の手続きは、余裕を持って進めるようにしましょう。

転職を成功させるための
ノウハウが知りたいなら

「会計求人プラス」

転職成功のポイントを押さえて、理想のキャリアを築きませんか?会計業界に特化した「会計求人プラス」の転職エージェントがあなたの希望に合った求人を見つけ、成功へのステップをサポートします。

まとめ:免除制度を利用することで試験勉強の負担はかなり軽減される

公認会計士試験には、短答式と論文式それぞれで、条件を満たした受験者に試験科目の免除制度があります。もし免除対象の科目が特に得意な科目でなければ、この制度を利用することで確実に有利になります。1科目でも免除されれば、学習負担は大幅に減るでしょう。短答式と論文式で条件が異なるため、まずはご自身が該当するか確認してみてください。公認会計士のような難関資格では、このような試験対策も非常に重要です。ぜひ活用しましょう。

転職を成功させるための
ノウハウが知りたいなら

「会計求人プラス」

転職成功のポイントを押さえて、理想のキャリアを築きませんか?会計業界に特化した「会計求人プラス」の転職エージェントがあなたの希望に合った求人を見つけ、成功へのステップをサポートします。

投稿者情報

現役公認会計士カズ
現役公認会計士カズ現役公認会計士・税理士
公認会計士資格を取得しており、現役で公認会計士として仕事をしています。税理士資格も持っていますので、財務、会計、税務、監査などの専門的な業務経験も豊富にあります。ライターとして5年以上執筆しており、専門的でリアルな内容が好評いただいています。

ピックアップ求人

新着求人

-公認会計士
-,