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義務不履行者には登録抹消の可能性もある!会計士の継続的専門研修制度とは?

2023/11/01

2020年9月7日、4大監査法人の1つであるあずさ監査法人は所属する会計士45人が公認会計士法で義務づけられた継続的専門研修を不正に受講していた疑いがあると発表しました。
これらの会計士は、オンラインで不正に複数の講座に同時ログインしていたにも関わらず、それぞれの講座を別々にきちんと受講したのと同じだけの単位認定を受けようとしていた可能性がある模様です。あずさ監査法人は、これらの会計士たちを減給などの懲戒処分にすることを検討しているとの発表がありました。

こういった不正を繰り返し、悪質と判断された場合は、金融庁の行政処分を受けて公認会計士登録の抹消の可能性もあります。それだけ、公認会計士の継続的専門研修制度が重要であると考えられている証拠です。

公認会計士の継続的専門研修制度にはこれまで20年以上の歴史があり、様々な研修を実施しています。そこで今回は、この公認会計士の継続的専門研修制度について、概要や歴史や種類などを解説していきます。特にこれから公認会計士を目指そうと思っているという方は、是非ご参考にして下さい。

1.公認会計士の継続的専門研修制度


会計士としての使命及び職責を全うし、監査業務等の質的向上を図るために、日本公認会計士協会は公認会計士および公認会計士試験合格者に対して研修の履修を義務付けています。この研修のことを「継続的専門研修(CPE=Continuing Professional Education)」と言います。この公認会計士の継続的専門研修制度は、公認会計士法第28条において法定義務化されています。

会計士は年最低20単位以上、および当該事業年度を含む直前3事業年度で合計120単位以上の研修を履修する義務があります。公認会計士の継続的専門研修義務不履行者には、研修の履修指示、氏名等の公示・公表、監査業務の辞退勧告といった措置や、戒告、会員権停止、退会勧告等の自主規制としての懲戒処分のほか、金融庁長官への行政処分請求を付加することもありえます。

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2.公認会計士の継続的専門研修の歴史

まずは公認会計士の継続的専門研修制度の概要について見て来ました。会計士には「公認会計士法で義務付けられている研修がある」ことを改めてご理解いただけたと思います。
では、公認会計士の継続的専門研修制度の歴史について見ていきましょう。

公認会計士の継続的専門研修制度は元々、1998年4月より任意参加で実施が開始されました。その後、2002年より公認会計士協会の自主規制として会計士に義務化され、2004年4月より公認会計士法第28条において法定義務化されました。

その後に2006年度から「職業倫理に関する研修」を、更に法定監査業務に従事する会計士には「監査の品質管理に関する研修」(2013年度から「監査の品質及び不正リスク対応に関する研修」に研修科目の名称変更)を必修化しました。

また、2014年度から税金に関する知識の重要性が高まったことにより、全ての会計士に「税務に関する研修」2単位以上も必修化しています。

さらに2016年度からは、法定監査業務に従事する会計士に対して「監査の品質及び不正リスク対応」に関する研修科目6単位のうち2単位以上、不正事例研究に該当する研修を履修しなければならないこととしています。

3.継続的専門研修の種類

ここまで、会計士の継続的専門研修制度の歴史について説明させていただきました。単に公認会計士法で義務となっていることだけでなく、会計士にとって自己研さんとして研修が重要であることをご理解いただけたと思います。
続いては、会計士の継続的専門研修制度の種類について見ていきます。
 
a.集合研修・・・集合研修は、原則として講師が参加者に講義することにより行う研修のことです。日本公認会計士協会本部や地域会が主催のもの、監査法人や公認会計士事務所主催のものなどのほか、税理士会など会計士以外の有資格者が主催するものもあります。

b.自己学習・・・公認会計士業務に該当する専門書・雑誌の読書などが自己学習に含まれます。また、日本公認会計士協会本部や地域会の開催する委員会などへの出席も自己学習になります。

c.著書等執筆・・・図書や雑誌の著述や論文の執筆などがこれに当てはまります。ただし、大学・大学院で課題として提出するレポートや論文の執筆はこれにあてはまりません。

d.研修会講師・・・日本公認会計士協会本部や地域会が主催の研修会や、監査法人・公認会計士事務所主催の研修会の講師を行った場合もCPEの対象になります。
 
ここで、公認会計士が1年間に取得しなければならない必修科目に関する最低単位をおさらいします。

・「職業倫理に関する研修」:年間2単位
・「税務に関する研修」:年間2単位
・監査の品質及び不正リスク対応:年間4単位(法定監査従事者は年間6単位)
・監査の品質及び不正リスク対応に関する単位のうち不正事例研究:年間2単位

上記の単位をクリアできるような勉強を行いつつ、年平均40単位の自己研さんに励むのが会計士ということになります。所定単位数を割っても即座に会員資格停止等にはなりませんが、資格停止の前段階でも氏名の公表などされて仕事に差し支えるようなことは避けたいところです。

4.公認会計士としての自己研さんの必要性


ここまで、会計士の継続的専門研修制度について見てきました。仮に公認会計士の継続的専門研修制度がなくても会計基準や税法は年々改正されます。つまり、そもそも会計士はキャッチアップのために知識の更新が必要なのです。そういった意味では、クライアントにより良いサービスを提供するために公認会計士試験合格後においても会計士は自己研さんを行い続ける必要があります。

あずさ監査法人の会計士も軽い気持ちで「少しのことだから」と考えて不正に複数講座に同時ログインし、単位を取得しようとしたのかもしれません。ですが、そういった法令違反をすれば処分を受けるのは当然でもあります。
会社法の第431条には、株式会社の会計は一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うものとする、とあります。

会計士の独占業務である会計監査は、企業が法令に違反することなく会計業務を行っているかどうかの検査をすることでもありますので、先ずは会計士自身が法令遵守の精神を強く持つ必要があるのは明白です。会計士になるために使った時間と努力を考えると、継続的専門研修違反で処罰を受けるのは、あまりに勿体ないことであると言えるのではないでしょうか。公認会計士試験に合格した暁には、気の緩みのないよう正しく継続的専門研修を受けていけるように心掛けておきたいですね。

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