公認会計士の退職金はいくらくらいなの?一般企業と比較すると安いって本当?
2023/11/01
国家資格の中でも、医師や弁護士、税理士などと同様に取得が難しいとされるのが公認会計士です。難関な試験と社会における需要の高さゆえに、公認会計士の報酬は高額とされています。
しかし、その反面退職金については一般的に低めといわれているようです。公認会計士を目指す人にとっては、現役を退いた後の人生を見据えると、退職金の額についても気になるところではないでしょうか。ここでは、一般的な会社員の退職金との比較や、公認会計士としての所属先での違いなど、様々な角度から公認会計士の退職金相場について解説していきます。
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監査法人に勤める公認会計士の退職金はいくら?
公認会計士の退職金を検証するためには、まず公認会計士の所属先について確認をしておく必要があるでしょう。退職金というのは雇用関係が成立している場合に、企業が従業員に対して退職の際に支給するものですが、企業によって退職金制度の有無や支給方法にも違いがあります。
公認会計士においても、どのような組織に所属しているのかによって、退職金の扱いがずいぶん変わるのです。公認会計士の業務で主たるものが会計監査です。そのため、公認会計士として活躍する場合、代表的な就職先は監査法人となります。
監査法人に就職した場合、退職金の算定は、月額給与の60~70%×働いた年数で導いた金額になるのが一般的のようです。たとえば、スタッフ3年、シニアスタッフ2年という経験があった場合、(30万円×70%×3年)+(40万円×70%×2年)=63万円+56万円で、合計119万円が退職金となります。
また、監査法人では昇格できないと退職金が下がる制度があります。そのため、たとえば十年以上同じ職位にいると、退職金がほとんど出ない場合もあります。
一般企業に勤める公認会計士の退職金はいくら?
公認会計士の就職先として次に挙げられるのは、一般企業です。会計に関する専門知識を活かしたコンサルティングや、予算の編成、コスト削減のための提案など、企業の経営戦略に大きく寄与することが可能です。一般企業に勤務した場合、どのような雇用関係を結ぶかにもよりますが、社員として入社した場合は一般社員と同様の待遇を受けることになります。
一般企業の退職金は、大学卒で勤続35年以上になると、企業の制度にもよりますが2000万円を超えることがあります。もし、企業規模が小さくても1000万円を超える可能性があるので、一般企業に勤める公認会計士は、同等かそれ以上もらえる可能性が高くなります。
また、退職金の支給方法については、退職時に一時金として支給される場合もあれば、年金として支給されるケースもあるため、退職金の支払い方法についても確認が必要でしょう。
また、ここで留意しておきたいのが企業における退職金についての動向です。高齢化が進み、定年の延長が行われている中で、企業の退職一時金負担の増加の抑制が行われつつある現実があります。そのため、退職金は年々減少傾向にあり、企業の事情に大きく左右されるのが現状です。
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辞めるともらえる公認会計士企業年金基金とは?
一般企業に就職した場合と、監査法人に就職した場合とでは、退職金の制度や金額に大きな差があるのが現状です。この差を少しでも埋めるべく、公認会計士企業年金基金という、公認会計士のための年金制度が存在します。多くの公認会計士の就職先が監査法人という中、退職後の生活の補填となる年金制度を増幅していこうという動きは、自然の理ともいえるでしょう。
公認会計士企業年金基金は、日本公認会計士協会を母体に設立され、公認会計士事務所および監査法人などの加入事業所の事業主と、加入者とで運営されています。
その特徴の1つとして、公認会計士企業年金基金に加入して3年未満の場合は給付がないというものがあります。しかし、基金に再加入すれば、脱退時の勘定残高を引き継ぐことができます。さらに、3年以上10年未満の場合は脱退一時金がもらえます。
10年以上の加入で、退職時60歳未満の場合は、脱退一時金をもらうか老齢給付金として60歳もしくは65歳から受け取ることが可能です。特筆すべきは、掛金負担についてでしょう。一般企業では企業年金の掛金を社員にも負担してもらっているところもありますが、公認会計士企業年金基金では全額を事業主が負担し、加入者の負担がありません。
公認会計士の退職金は一般企業よりも高い?安い?
公認会計士の退職金を考える場合には、どういうしくみで退職金が算定されていくのかという点がポイントとなるでしょう。
多くの公認会計士が勤務する監査法人の場合、退職金制度のしくみの特徴として、昇格できないと退職金が下がるというものがあります。10年~15年ほど同じ職位に在留していると、退職金として積み上げる原資がほとんどなくなるという実態があるようです。公認会計士の退職金制度については、仕事に対するモチベーションを上げるという期待、そもそもの退職金に対する考え方などが含まれるのでしょう。
しかし、監査法人に勤める公認会計士の退職金は、一般企業と比べた場合、金額面だけを見るとどうしても安いといわざるを得ない部分があります。ただし、同じ公認会計士であっても上場企業に勤める会計士についてはその限りではなく、ほかの社員と同様、高額の退職金を手にする可能性があります。
一般的には、企業勤務の方が退職金が高いといえるでしょう。しかし、一般企業に就職しても退職金制度については企業によって違いがあるため、就職の際には退職金制度にも確認が必要です。
まとめ
ここまで様々な角度から公認会計士の退職金について見てきました。公認会計士の退職金は、どこに勤務し、どのくらいの期間在勤するかによって大きく変わることが分かりました。監査法人に就職した場合、一般的な公認会計士の退職金は安くても、年収は1000万円を超えることも夢ではありません。
昇格していくと年収も上がり、退職金の算定も下がることはありません。その結果、トータルで考えれば、高収入になるのは明らかです。一般企業でも退職金制度を廃止したり、退職一時金ではなく、確定拠出年金などの年金制度に力を入れる企業も多く存在します。
監査法人の退職金の少なさだけをことさらにクローズアップするのではなく、普段から貯金に勤めたり個人年金を積み立てるなど、退職時に備えておくことが重要なのです。
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投稿者情報
- 現役の税理士として10年以上、会計事務所に勤務しているかたわら、会計・税務・事業承継・転職活動などの記事を得意として執筆活動を5年以上しています。実体験をもとにしたリアルな記事を執筆することで、皆さんに親近感をもって読んでいただけるように心がけています。
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