経営コンサルタントには資格が無いとなれないのか?

経営コンサルタントに必要な資格とは?おすすめの資格と必要性を解説

2025/06/02

経営コンサルタントに関する資格を知りたい方必見です。業界を問わず、取得すべき資格や専門分野ごとに必要な資格について詳しくご説明します。

また経営コンサルタントとしての転職方法や、専門性が重要である理由についてもこのコラムでご紹介します。

経営コンサルタントとは?

経営コンサルタントとは、企業の経営に関するアドバイスを行う専門家のことを指します。コンサルティングとは、企業や個人が直面する課題に対し、解決策や改善策を提案する業務です。
経営コンサルタントは、自身の専門知識やスキルを活かして、クライアントの問題を分析・特定し、業務の改善や課題解決を支援します。

経営コンサルタントと公認会計士の違い

公認会計士とは、日本公認会計士協会の定義によると、開業登録後に「監査」をはじめとする会計・税務・コンサルティング業務を行う専門家です。特に、公認会計士は会計のプロフェッショナルであり、企業の財務諸表の適正性を確認する「監査」という独占業務を担います。

一方、経営コンサルタントは、企業が直面する経営課題に対して解決策を提案し、業務の改善や成長戦略を支援する専門家です。
公認会計士が財務や会計を中心とした業務を担うのに対し、経営コンサルタントは経営全般に関するサポートを提供する点が大きな違いとなります。

経営コンサルタントの仕事内容

実際の経営コンサルタントの業務内容はどのようなものなのでしょうか。経営コンサルタントと一口に言っても、その専門分野はさまざまです。専門分野は異なるものの、多くの経営コンサルタントが以下の業務に携わっています。

●企業分析
経営コンサルタントの基本業務の一つが、企業の現状を把握し、課題を明確にするための企業分析です。
SWOT分析(強み・弱み・機会・脅威の分析)、MOST分析(ミッション・目的・戦略・戦術の分析)、BPM分析(業務プロセスの分析)、PESTLE分析(政治・経済・社会・技術・法・環境の影響分析)など、さまざまなフレームワークを活用して多角的に分析を行います。

●経営戦略の策定
企業の課題を把握した後、コンサルタントは経営戦略の策定を支援します。企業の方向性や目標を明確にし、それを達成するための戦略を提案します。

●マーケティング戦略の策定
経営コンサルタントの業務には、企業のマーケティング戦略の立案も含まれます。どのような商品やサービスを、どの市場・顧客に、どのように販売するかを計画することが重要です。

●財務計画の策定
中小企業を対象とするコンサルタントにとって、財務計画の策定も重要な業務です。多くの中小企業は税理士や公認会計士に財務諸表の作成を依頼しますが、将来のキャッシュフロー計画や資金調達戦略については専門的なアドバイスを受けられないこともあります。そのため、経営コンサルタントが資金管理や調達方法に関する助言を行うことが求められます。

●事業再生計画の策定
近年、経営が悪化した企業の再建を支援する「事業再生計画」を手がけるコンサルタントが増えています。事業再生計画では、債務整理や債権者との交渉、人員計画の見直し、資金調達(DIPファイナンスなど)、M&Aなどを含めた事業再編戦略を策定します。

経営コンサルタントに資格が必要なわけではない

経営コンサルタントとして働くために、特別な資格は必須ではありません。資格がなくても「経営コンサルタント」として活動することは可能です。

しかし、経営コンサルタントの仕事は誰にでもできるわけではありません。クライアントに信頼され、成果を上げるためには、幅広い経営知識と高い専門性が求められます。

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経営コンサルタントに活かせる専門性の高い資格

中小企業診断士

中小企業診断士は、中小企業の経営状況を的確に分析し、適切なアドバイスや提案を行う専門家です。中小企業の課題解決や組織の立て直しを支援するプロフェッショナルであり、経営コンサルティングに関する唯一の国家資格とされています。

中小企業診断士の働き方は多様で、独立してコンサルタント業を営む人もいれば、企業に所属しながら組織の経営改革を内側から支援するケースもあります。独占業務がないため、独自の視点や発想力、行動力が求められ、自らの強みを活かして活躍することが重要です。

税理士

税務相談や税務手続きの代行など、税に関する幅広い業務を担う専門家が税理士です。税法に関する高度な知識を活かし、中小企業の経営コンサルティングを手がける税理士も少なくありません。

税理士登録後は、独立開業するケースが一般的です。納税や節税に関する専門的な知識や提案力は、企業経営を支援するうえでも重要な役割を果たします。

公認会計士

公認会計士は、財務諸表のチェックや分析を通じて監査業務を担い、企業の健全な経営環境の維持に貢献する専門家です。税理士が税務面から経営を支えるのに対し、公認会計士は監査の立場から組織の適正な運営を促す役割を果たします。

公認会計士試験合格後は、監査法人や公認会計士事務所に就職し、実務経験を積みながら資格登録を目指すのが一般的です。独立し、実績を積んで信頼を得ることで、大企業の経営アドバイザーとして活躍する道も開けるでしょう。

経営士

経営コンサルタントを目指す人々が取得を目指す資格の一つが、経営士です。これは日本で最も歴史のある経営コンサルタント資格として広く認知されています。
経営士になるためには、5年以上の経営管理に関する実務経験が求められ、基本的には学生には受験資格がありません。経営士試験は毎年5月と11月の年2回行われ、合格率は70%を超えています。受験者のほとんどが実務に優れたスペシャリストであるため、合格率が高い傾向にあります。

経営士は歴史のある資格であり、多くの企業経営者から信頼を寄せられています。そのため、この資格を取得することで、業種に関わらず様々な場面で活躍できるチャンスが広がります。経営実績のある方には特におすすめの資格です。

社会保険労務士

社会保険労務士は、労働社会保険に関する法律に基づき、帳簿書類の作成や申請手続きを代行する専門家であり、労務改善の視点からアドバイスを提供し、企業の健全な経営を支援します。

中小企業診断士が経営者の立場から企業を支援するのに対し、社会保険労務士は主に従業員の視点から、企業環境の整備を目指します。試験には一定の制約があり、誰でも簡単に取得できる資格ではありませんが、経営コンサルタントとして活躍の幅を広げたいのであれば、ぜひ取得を目指す価値のある資格です。

行政書士

行政書士は、行政書士法に基づく国家資格であり、法律に関する専門的な知識を持つ資格です。この資格を持つことで、国民と行政機関の間に立ち、法律文書の作成や役所への書類提出手続きの補助を行うことができます。さらに、法律に関するアドバイスやコンサルティング業務など、さまざまな分野で活躍できる職業です。

例えば、社内規程や契約書の作成、行政書士法人への各種申請手続きなど、業務の範囲は非常に広範囲にわたります。

司法書士

司法書士は、企業設立から解散まで、あらゆるビジネスシーンで重要な役割を果たす資格です。主に不動産や権利義務に関する登記業務を担当しており、これにより社会に公示します。登記業務は弁護士に依頼することも可能ですが、料金面で司法書士に依頼するケースが一般的です。

日本の士業制度は、弁護士、税理士、公認会計士など、非常に細分化されており、それぞれの分野で高度なサポートを提供しています。司法書士は、どの専門家に相談すべきか分からない中小企業を適切な専門家に繋げる役割も担っています。

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幅広い業界で有利に働く経営コンサルタントの資格

MBA

MBA(経営学修士)は、業種を問わず経営コンサルタントとしてのスキルを身につけるために役立つ資格です。ビジネススクール(経営大学院)を修了することで取得できます。

ビジネススクールを卒業することで、最終学歴が更新され、履歴書に高学歴を記載することができます。さらに、海外のビジネススクールでMBAを取得すれば、経営に関する知識だけでなく、実践的なビジネス英語を学ぶこともできる点がメリットです。

また、MBAは経営戦略や事業再生、財務など広範囲にわたる分野で評価される資格であり、就職や転職活動において有利な点が多いです。しかし、MBAを取得したからといって、必ずしも希望するコンサルティング会社に就職できるわけではなく、実務経験や業界での専門知識が重要視されることも理解しておくべきです。

TOEICやTOEFL

コンサルティング会社への転職や就職を目指すには、TOEICやTOEFLなどの英語に関連したテストで一定のスコアを持っていることが必須です。特に外資系ファームでは、テストのスコアよりもビジネス英会話の実力が重視される傾向が強いため、単なる読み書きのスキルだけではなく、実践的な英語でのコミュニケーション能力が求められます。

さらに、就職や転職の際、TOEICやTOEFLでの高スコアは大きなアドバンテージとなります。コンサルティングファームによっては、英語力を必要とするプロジェクトが多く存在します。

IT関連の資格

経営コンサルタントとして、ITスキルは非常に重要です。クライアントの業界によっては、ITに関する高度な知識や業務の理解が求められるため、幅広い知識とスキルが必要です。
IT技術の普及に伴い、業務を効率よく進めるためには、すべての業種や業態でITを活用することが不可欠です。しかし、実際には日常業務に追われてITの活用が遅れ、競合他社に遅れをとる企業も多く見られます。

IT関連の資格は、活かせる業務範囲が広いだけでなく、クライアントから求められるスキルも多岐にわたります。例えば、経営陣から現場担当者まで、さまざまな立場の人と意見を交換するためには、優れたコミュニケーション能力が必要です。相手の理解度に応じて専門用語を使い分け、しっかりと相手の意見を聞くことが求められます。

経営コンサルタントになるには

特定の資格は必須ではありませんが、高い専門知識、経歴、実績が求められるため、資格を持っていることが有利に働きます。

例えば、大学でMBAなどの資格を取得してからコンサルティング会社に就職する方法や、大手企業で金融や人事の業務経験を積み、専門資格を取得した後に経営コンサルタントとして転職するケースがあります。また、会計士として監査法人で経験を積んだ後に経営コンサルタントに転職する道もあります。

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経営コンサルタントの転職先

監査法人・税理士法人

経営コンサルタントのキャリアは、コンサルティング会社に入社することから始まるのが一般的です。そこで、経営コンサルティングの基本を学びながら、実践的な経験やスキルを身につけることができます。

総合系コンサルティングファーム:企業戦略や事業戦略の立案からシステムの構築まで、主に企業のコアな部分を対象に広範囲なサービスを提供します。部分的な対応ではなく、企業全体をサポートします。

戦略系コンサルティングファーム:主に大企業や外資系企業をクライアントとし、M&Aを含む経営戦略のトップレベルのコンサルティングを行います。シンクタンク型ファームは、研究機関としての側面も持ち、業績悪化企業や倒産リスクのある企業に特化しています。

IT系コンサルティングファーム:システム構築やIT活用を中心にビジネスのサポートを行い、技術面で強みを発揮します。

マーケティング系コンサルティングファーム:広告などのマーケティング戦略を得意とし、ビジネスの戦略策定をサポートします。

また、コンサルティングファームは外資系と日系に分けることができます。外資系ファームは専門知識や実務経験、ビジネス英語力などが求められるため、転職が難しい場合があります。一方、日系ファームは比較的就職しやすいとされています。したがって、未経験の方がコンサルタントを目指す場合は、日系のコンサルティングファームから挑戦するのが良いかもしれません。

コンサルティング会社

監査法人や税理士事務所もコンサルティング会社を活用しており、経営コンサルタントが多く活躍しています。特に、税務面で中小企業と密接に関わっている税理士事務所では、税務に関するアドバイスを提供しながら、経営コンサルティングを業務の一部として実施することがよくあります。

また、監査法人も自社グループ内にコンサルティング会社を抱えることが一般的で、IT監査などの分野でも経営コンサルタントの専門知識を活用しています。

高い専門知識が求められる経営コンサルタントは資格がある方が有利

本記事では、経営コンサルタントに必要な資格についてご紹介しました。紹介した資格を取得することで、未経験から経営コンサルタントを目指す際に大きなサポートとなるはずです。重要なのは、持っているスキルとコンサルタントとしての適性や潜在能力です。そのため、資格を取得するだけでなく、資格を通じてどのようなスキルをアピールできるのか、またどのスキルを習得しておくべきかをしっかりと把握しておくことが大切です。

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投稿者情報

現役公認会計士カズ
現役公認会計士カズ現役公認会計士・税理士
公認会計士資格を取得しており、現役で公認会計士として仕事をしています。税理士資格も持っていますので、財務、会計、税務、監査などの専門的な業務経験も豊富にあります。ライターとして5年以上執筆しており、専門的でリアルな内容が好評いただいています。

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