経営コンサルタントになるためには資格が必要なのか?
2023/11/01
経営コンサルタントは、クライアントの依頼を受けて企業の経営状態を調査・分析し戦略や改善方法を提案したり、アドバイスや支援をするのが仕事の職業です。他にも、事業再生を行ったり、M&Aのサポートを行ったりと、企業の経営改善、業績向上について指導やアドバイス、サポートしたりもします。
経営コンサルタントの仕事は、専門性が高く、専門分野に特化してサービスを提供している経営コンサルタントもいます。経営コンサルタントは、皆さんのイメージとしても高収入で、企業からも頼りにされて、人気も高く、魅力ある仕事であると考えているのではないでしょうか。
しかし、経営コンサルタントになるためには、どうすればよいかわからない人も多いのではないでしょうか。経営コンサルタントとして名乗れるようになるには、公認会計士や税理士のような国家資格が必要だと思ってたりしませんか。
結論から言えば、経営コンサルタントになるために必ず必要となる資格はありません。資格は必要ないから、すぐに経営コンサルタントになれるのかというと、そうは簡単な話しではありません。
経営コンサルタントとしてコンサルティングファームに転職を考えた場合も、経営コンサルタントとして独立開業する場合でも、企業から信頼を得て仕事の依頼を請けるための材料が必要になります。経営コンサルティングの実務が未経験であれば、転職の際にアピールできる点が無く、採用に至ることは困難だと言えます。また、企業から仕事の依頼を貰う場合も、実績も スキルもなければ、企業の信頼を得ることが難しく、仕事の相談すら難しい状態になるでしょう。
そこで、経営コンサルタントとして活動することを可能とする知識やスキルの証明として資格を取得することは有効なのです。
では、具体的にどのような資格を取得すれば、経営コンサルタントに近づけるのでしょうか。この記事では、経営コンサルタントとなるために有利となるような具体的な資格などについて紹介していきます。
コンテンツ目次
そもそも経営コンサルタントとは?
経営コンサルタントとは、経営者が直面する経営課題の解決を目指し、様々なサービスを提供する職業です。経営コンサルタントは、様々な経営課題に対する解決策(ソリューション)を提供することで、その対価を得ています。企業が直面する経営課題は、企業によって異なりますし、扱う経営課題も戦略策定、オペレーション業務改善、新規事業立案、M&A戦略の立案など、様々です。
そもそも、会社には、経営課題に直面した際にそれを解決する人材がいるとは限りません。そのような能力の高い人材を抱えることは、コスト面で折り合いがつかないことが多いですし、能力の高い人材がずっと同じ会社にとどまってくれるとも限りません。そこで経営者は、経営課題を解決してくれる人材を会社の外部に求めます。その会社の外部者として経営課題を解決するのが、経営コンサルタントの役割です。
経営コンサルタントに資格は必要か?
会社が直面している経営課題について経営者とともに解決するのが経営コンサルタントの役割です。経営者は、様々な経営課題を抱えているのが普通です。売上の確保、資金繰り、優秀な人材の確保、コンプライアンスの遵守、ガバナンスの強化など、経営者が取り組まなければならない経営課題は枚挙にいとまがありません。
こうした経営課題を経営者とともに解決に導くパートナーが経営コンサルタントです。経営者の立場からしてみれば、経営課題を一緒に解決してくれるのであれば、経営コンサルタントがどんな人であるかはあまり重要ではありません。課題を解決するだけの能力があれば、それで良いのです。したがって、経営コンサルタントには、必ずしも何らかの資格が必要というわけではありません。資格がなくとも経営コンサルタントとになれるのは、経営者が求めているのは資格ではなく、経営課題を解決する能力であるからです。
経営コンサルタントになるために必要なこと
経営課題を解決できる能力があること。これが経営コンサルタントに求められる条件です。会社が直面している経営課題には様々な課題がありますが、経営コンサルタントは全ての課題を解決できる必要があるわけではありません。むしろ、高度な専門性によって、経営課題を解決することが求められているので、1つのジャンルについてより深く高度な専門知識を持っている経営コンサルタントの方が重宝されます。
経営に関する専門性の高さが、経営コンサルタントには求められます。したがって、経営コンサルタントは、コンサルティングファームなどで経営コンサルタントとして働いた経験のある人、会社経営の経験のある人、管理職として働いた経験のある人、弁護士(法律の専門家)、会計士(会計・監査の専門家)、税理士(税務の専門家)など、高度の専門性を持った人が従事するケースが多いです。士業として活躍している人は、その分野の専門家ですから、経営コンサルタントとして活躍できるジャンルもあるでしょう。加えて、特定の会社における何らかの業務について高度な専門性を有していれば、その分野に特化した経営コンサルタントとして活躍することもできるでしょう。
このように経営コンサルタントとなるためには、高度な専門性と経験が必要です。そのため、経営コンサルタントのなかには、大学で学び博士号や修士号、あるいはMBAのような学位を有している人も数多くいます。
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経営コンサルタントに活かせる士業の資格
経営コンサルタントとして活躍するためには必ずしも資格は必要ありません。しかし、経営コンサルタントとして活躍する人の多くは、資格を有しているケースが多いです。その理由は、経営コンサルタントが経営に関する高度な専門性を求められているからです。以下では、経営コンサルタントとして活躍するために活かせる資格の概要を説明します。
中小企業診断士
中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家です。中小企業者が適切な経営の診断及び経営に関する助言を受けるに当たり、経営の診断及び経営に関する助言を行う者の選定を容易にするため、経済産業大臣が一定のレベル以上の能力を持った者を登録するための制度として中小企業診断士制度が存在してます。中小企業基本法では、中小企業者が経営資源を確保するための業務に従事する者(公的支援事業に限らず、民間で活躍する経営コンサルタント)として位置づけられています。
公認会計士
公認会計士は、会計・監査の専門家です。公認会計士の多くは、監査業務において会社経営者や役員と経営に関して話をする機会が数多く存在しています。結果として、経営に関する知識を身につける機会が多くあり、公認会計士から転職して経営コンサルタントとなるケースも少なくありません。
税理士
税理士は、税務の専門家です。税理士の多くは、中小企業の会計・税務に関する支援を行っています。中小企業経営者にとって、税理士は最も身近な存在です。結果として、会計・税務に関する支援だけではなく、経営コンサルタントとして仕事を依頼されるケースも少なくありません。特に、補助金制度などの活用において経営者をサポートする役割が期待されています。
社労士
社労士は、人材に関する専門家です。「労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施に寄与するとともに、事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資すること」を目的として、企業における採用から退職までの「労働・社会保険に関する諸問題」や「年金の相談」に応じるなどといった幅広い業務に従事しています。そのため、人材分野に関する経営コンサルタントとしての活躍を期待されています。
経営士
あまり聞き馴染みがない資格のように感じるかもしれませんが、「経営士」は、戦後混乱期の企業を指導する目的で通商産業省や産業界の勧奨によって創設された日本で最初の経営コンサルタント資格です。日本経営士協会(Japan Management Consultant Association = JMCA)が資格試験を主催しています。JMCAは、日本で最初の経営コンサルタント資格付与団体・プロ集団でありますとともに、経営コンサルタント育成を通じて、産業社会の発展に貢献しています。
MBA
MBA(Master of BusinessAdministration)は、日本語では経営学修士号と呼ばれる学位です。学位であるため、厳密には資格ではありません。MBAの学位は、大学院において経営に関する知識を一定程度修めたことの証です。経験においては不十分な面も否めないものの、科学的な観点から経営コンサルタントとしての活躍が期待されています。
経営コンサルタントの平均年収は?
経営コンサルタントの平均年収は、一般の会社員よりも高い水準にあります。その理由は、経営コンサルタントの高い専門性にあります。高い専門性によって、年収の高さが担保されているのです。もちろん、経営コンサルタントの年収はピンきりです。経営コンサルタントの報酬は、経営者とどのような契約を結ぶかによって決まります。したがって、平均年収を下回るようなケースも少なくありません。外資系コンサルタントともなれば、年収1,000万円以上も珍しくなく、年収2,000万円も目指せる職業です。
経営コンサルタントのキャリアパス
経営コンサルタントとなるためには、高度な専門知識と経験が必要です。高度な専門知識だけであれば、大学院に進学してMBAの学位をとれば事足ります。そこから、経験を積むことで、実務においても活躍できる経営コンサルタントになることができるのです。したがって、経営コンサルタントとして活躍したいのであれば、知識と経験の両方を備えていなければなりません。
知識や経験はいきなり身につけられるものではないので、通常、経営コンサルタントとなる前に、公認会計士や税理士となって経験を積んだり、コンサルティングファームに入って、チームでコンサルティング業務に従事して経験を積んでいくのが普通です。
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まとめ
経営コンサルタントを目指す場合、資格がなくてもなることは可能ですが、業務を遂行できるだけの経験と実績が必要になるでしょう。資格が無くても有名企業の経営コンサルティングを経験している、知名度の高い企業のM&Aをサポートとしたなどの実務経験があることで、無資格であっても信頼を得ることは可能になるからです。未経験、無資格という状態だと経営コンサルタントとして仕事を行うことはほぼ不可能だといえます。まずは経営コンサルタントに関係性のある資格を取得し、知識とスキルを得ることから始めるのがいいでしょう。
経営コンサルタントには、高度な情報収集スキルやコミュニケーションスキル、専門知識が必要とされる仕事です。様々なケースに柔軟に対応するための実務経験を積むことがなによりも大切です。まずは、今のキャリア、スキルに適した資格取得を目指し、専門分野の経験を積むことから始めると良いでしょう。
経営コンサルタントへのキャリアパスは、コンサルティングファームに勤めることだけではありません。会計事務所でも経験を積むことが可能な事務所も増えていますので、税理士や公認会計士などの資格取得を目指すことは1つの方法です。いずれも難関国家資格として知名度も高く、その資格保有者しか行うことのできない独占業務もあります。経営コンサルタントになる前段階として士業での経験を積んでいきましょう。
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投稿者情報
- 公認会計士資格を取得しており、現役で公認会計士として仕事をしています。税理士資格も持っていますので、財務、会計、税務、監査などの専門的な業務経験も豊富にあります。ライターとして5年以上執筆しており、専門的でリアルな内容が好評いただいています。
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