
社会人が働きながら税理士試験に合格できる!仕事と勉強を両立するには
2023/11/01
税理士試験は超難関といわれている国家資格とされていますので、社会人として働きながら勉強を続け合格することは大変な挑戦です。
しかし、就職後に税理士試験を受験し、合格を勝ち取った税理士は数多く存在します。
彼らはどのようにして難関試験を突破できたのでしょうか?
この記事では、働きながら税理士試験に合格するための重要なポイントをご紹介します。
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Contents
税理士になるには
税理士の受験資格
税理士試験の受験資格は、「学識」「資格」「職歴」といった3つの分類に分けられます。それぞれの詳細は以下の通りです。
また、令和5年度の税理士試験(第73回(予定))からは、会計学に属する試験科目(簿記論・財務諸表論)については、受験資格の制限がなくなり、どなたでも受験が可能となりました。
学識による受験資格
大学や短大、高等専門学校のいずれかを卒業した人で、法律学または経済学を1科目履修した人
大学3年次以上で、法律学もしくは経済学を1科目以上を含む62単位以上を取得した人
一定の専修学校の専門課程を修了した人で、法律学もしくは経済学を1科目以上履修したもの
司法試験に合格した人
公認会計士試験の短答式試験に合格した人
資格による受験資格
日商簿記検定1級合格者
全経簿記検定上級合格者
職歴による受験資格
法人もしくは事業を行う個人の会計に関する実務経験が2年以上ある人
銀行・信託会社・保険会社等で、資金の貸付・運用に関する実務経験が2年以上ある人
税理士・弁護士・公認会計士等の補助事務を2年以上経験した人
税理士の科目合格
税理士試験は科目選択制度を採用しており、全11科目から5科目を選択することができます。
一度に全ての試験に合格する必要はありません。何年かけてでも5科目合格すればいいのです。
税理士試験では、一度合格した科目は永久に有効となる科目合格制度を導入しています。
自身のライフプランに合わせて、受験スケジュールを自由に設定することが可能です。
税理士試験の受験科目は、会計科目と税法科目に分けられます。
会計科目: 簿記論と財務諸表論の2科目で構成されます。どちらも必須科目です
税法科目: 選択必須科目と選択科目に分かれます
選択必須科目: 所得税法と法人税法のいずれかを合格する必要があります
選択科目: 相続税法、国税徴収法、固定資産税、消費税法または酒税法(いずれか一つ)、住民税または事業税(いずれか一つ)から選択することができます
各科目のボリュームや難易度、内容は異なります。
得意な科目を選択することや、受験科目の組み合わせをうまく選ぶことが、
働きながら効率よく学習し合格するためのポイントです。
2年以上の実務経験
税理士法では、税理士試験に合格した者または税理士試験を免除された者は、2年以上の実務経験を有していなければならないとされています(税理士法第3条)。
したがって通常は、税理士として登録するために、税理士試験に合格し、かつ、通算で2年以上の実務経験を積まなければなりません。
税理士試験の難易度と勉強時間
科目選択制度
税理士試験は科目選択制度を採用しており、全11科目から5科目を選択することができます。
一度に全ての試験に合格する必要はありません。
税理士試験では、一度合格した科目は永久に有効となる科目合格制度を導入しています。
自身のライフプランに合わせて、受験スケジュールを自由に設定することが可能です。
税理士試験の受験科目は、会計科目と税法科目に分けられます。
- 会計科目: 簿記論と財務諸表論の2科目で構成されます。どちらも必須科目です
- 税法科目: 選択必須科目と選択科目に分かれます
- 選択必須科目: 所得税法と法人税法のいずれかを合格する必要があります
- 選択科目: 相続税法、国税徴収法、固定資産税、消費税法または酒税法(いずれか一つ)、住民税または事業税(いずれか一つ)から選択することができます
各科目のボリュームや難易度、内容は異なります。
得意な科目を選択することや、受験科目の組み合わせをうまく選ぶことが、
働きながら効率よく学習し合格するためのポイントです。
各科目の標準勉強時間
各科目の標準勉強時間を把握することも重要です。以下は各科目の標準勉強時間の目安です。
科目名 | 勉強時間 |
---|---|
簿記論 | 400時間 |
財務諸表論 | 450時間 |
所得税法 | 600時間 |
法人税法 | 600時間 |
相続税法 | 400時間 |
国税徴収法 | 150時間 |
固定資産税 | 200時間 |
消費税法 | 300時間 |
酒税法 | 300時間 |
住民税 | 300時間 |
事業税 | 200時間 |
ただし、これらの時間は目安であり、勉強時間だけで合格が保証されるわけではありません。
各科目の合格率
合格率も把握することは、効率的な合格への道筋を立てる上で重要です。
以下はある年の各科目の合格率です。
受験者数 | 合格率 |
---|---|
簿記論 | 23.0% |
財務諸表論 | 14.8% |
所得税法 | 14.1% |
法人税法 | 12.3% |
相続税法 | 14.2 % |
消費税法 | 11.4% |
酒税法 | 13.2% |
国税徴収法 | 13.8% |
住民税 | 17.2% |
事業税 | 14.1% |
固定資産税 | 18.4% |
最も高い合格率でも簿記論の23.0%であり、各科目の合格率は低いことが分かります。
5科目を合格し、税理士試験の関門を突破することは困難です。
実際の受験では、合格率を考慮して科目を選ぶことはあまり一般的ではありません。
科目のボリュームや実務での重要度を考慮して科目を選ぶことが一般的です。
税理士試験の平均合格年数
「税理士試験の勉強に専念できる人のほうが平均合格年数は短い」とよく思われがちですが、
実際は働きながらの勉強でも短期間で合格するケースは存在します。
以下では平均合格年数の目安を見てみましょう。
働かない場合の平均合格年数
大手専門学校では、1年間で2〜3科目の合格を目指すカリキュラムが採用されています。
順調に合格していけば、2〜3年間で税理士試験に合格する計画です。
ただし、合格率が低いため、一般的にはこのカリキュラムよりも数年かかることが多いです。
働きながらの平均合格年数
働きながら受験する場合、大手専門学校では1年間で1つの受験科目の合格を目指すカリキュラムが多いです。
したがって、就職後に順調に1年ごとに受験科目を合格すれば、通常は5年間で税理士試験に合格することができます。
ただし、実際には1つの受験科目の合格には複数年を要することが一般的です。
つまり、予定よりも合格までの年数が長くなる場合が多いです。
科目の選び方や傾向
勉強時間が少なさだけで科目を選ばない
酒税法や国税徴収法、事業税、住民税、固定資産税などの科目はボリュームが少ないです。
しかし、ボリュームが少ないからといって、合格が容易というわけではありません。
税法を学ぶ際には、自身が興味を持てる科目を選ぶことが重要です。
まずは会計科目から取得するのもおすすめ
【理由①:会計科目は比較的合格しやすい】
受験生のレベル:簿記論と財務諸表論の受験者の中には、税理士試験初心者が多くいます。
実際には、「記念受験」と呼ばれる受験生も存在し、ほぼゼロの合格可能性である人もいます。
税理士試験は競争試験であり、受験者全体のレベルが低い方が合格する可能性が高くなります。
【理由②:会計科目は丸暗記が少ない】
簿記論は100%計算問題から構成されています。財務諸表論は50%が計算問題、50%が理論問題です。
一方、税法科目は基本的には50%が計算問題、50%が理論問題です。
財務諸表論の理論問題と税法科目の理論問題は、少し異なる性質を持っています。
税法科目の理論問題に解答するには、税法条文を丸暗記する必要があります。難解な税法条文を完全に丸暗記するには、膨大な時間と労力が必要であり、
初学者の方にとっては挫折の可能性が高いです。
一方、財務諸表論の理論問題では、一言一句を丸暗記する必要はありません。
重要なキーワードを盛り込んで自分の言葉で説明できれば良いのです。
以上の理由から、財務諸表論と税法科目では「暗記する量」に大きな違いがあります。
税法は法人税・相続税・消費税の組み合わせが多い
法人税法は法人の税務を行う上で必須であり、相続税・消費税も実務で役に立つ科目です。
学習のボリュームと、実用性のバランスがよいと言えます。
働きながら税理士試験に合格する方法
税理士試験は、社会人の受験生が非常に多い試験です。しかし、社会人は学生と比べて受験勉強に割ける時間が限られています。
そのため、少ない時間の中で受験勉強を効果的に進め、最終的に5科目合格するためには、計画を綿密に立てることが非常に重要です。
勉強時間の確保と習慣化
時間を確保するためには、日々のスケジュールを工夫する必要があります。税理士試験に合格した人たちの話を聞くと、
合格の秘訣は日常の時間を確保し、忙しい中でも計画通り受験勉強を進めることだと言えます。
数年にわたる受験勉強は自己の意志だけではなかなか成功しないものです。重要なのは、受験勉強を習慣化し、集中できる環境を整えることです。
自宅では集中できない場合は、予備校の自習室やカフェなど、自分にとって集中しやすい環境を探すことも有効です。
予備校や専門学校の利用
さらに、予備校や専門学校を利用することも考慮しましょう。仕事の急な残業や飲み会など、予定通りに進まないことは社会人にとって一般的な悩みです。
ただし、言い訳ばかりしていても受験勉強は進まず、税理士試験も待ってくれません。
予備校を利用することで、学習ペースを維持する助けになるでしょう。
受講料は数十万円かかるかもしれませんが、税理士になればすぐに回収できる投資と言えます。
自分自身への投資として、積極的に予備校の環境を活用しましょう。
税理士試験を応援してくれる会計事務所に転職
税理士試験は科目合格制度があり、社会人でも取り組みやすいと言われていますが、
仕事と勉強の両立は容易ではありません。
しかし、最近では税理士試験をサポートする制度を提供する会計事務所や税理士法人
が増えています。 受験に向けて、勉強しやすい環境に転職することも効果的な方法です。
未経験者が会計事務所に転職するには
必要な経験、スキル、知識
経理業務の実務経験を持つ人は評価される傾向にあります。
しかし、「経理の実務経験がなければ成功の可能性はゼロなのか」というわけではありません。
実際に、一部の会計事務所では「異業種からの転職者も歓迎」としています。ただし、完全に異なる業種からの転職であるわけではありません。
金融機関などで決算書などの業務経験がある人は、より歓迎される傾向にあります。
また税理士試験には1科目よりも2科目以上合格している人は、一般的に高く評価される傾向があります。
たとえば、「簿記論」と「財務諸表論」の2科目に合格していれば、未経験者でも基礎知識を持っており、成長の余地があると判断されやすくなるでしょう。
ただし、科目合格にこだわりすぎて転職時期が遅くなると、逆に不利になる場合もあります。適切な判断をするためには注意が必要です。
未経験者が会計事務所で従事する仕事内容
未経験者が会計事務所で従事する仕事内容としては仕訳の記帳代行、決算書の作成、給与計算などがあります。
会計事務所で実務経験を積みながら税理士をめざす
会計事務所は税務や会計の専門家が働く場所です。実務経験がないと難しいと思われがちですが、未経験者でもチャンスは存在します。
ただし、知識や実務経験がまったくない場合、未経験からの転職は有利ではありません。
しかし、未経験からでも会計事務所での転職を成功させる方法はあります。一部の事務所では、税理士資格の取得をサポートしてくれる制度もあります。
税理士を目指す方や税務・会計分野でキャリアアップを望む方は、転職を有利に進めるために情報収集をすることも重要です。
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投稿者情報

- 現役の税理士として10年以上、会計事務所に勤務しています。会計・税務・事業承継・転職活動などの記事を得意として執筆活動を5年以上しています。実体験をもとにしたリアルな記事を執筆することで、皆さんに親近感をもって読んでいただけるように心がけています。
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