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税理士試験はおかしい?

税理士試験はおかしいのか?理由やメリットが無いのかも解説します

2024/08/23

税理士試験は、「合格に向けて必要な勉強時間が長すぎる」「合否判定が自分でできない」「平日に試験があるのはおかしい」など、勉強方法や試験制度について「おかしい」といわれることがあります。

税理士となるために税理士試験の5科目合格を目指す人は、税理士試験が「おかしい」といわれる詳しい理由が気になるところでしょう。今回は、税理士試験がなぜ「おかしい」といわれるのかを詳しく解説します。

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税理士試験の概要

税理士試験は科目数が多く、制度が複雑なため概要を把握しておくことが大切です。ここでは税理士試験の科目や制度、難易度について詳しく解説します。

税理士試験の科目

税理士試験は年に1回実施され、必修科目2科目と選択必修科目から1科目ずつ、選択科目から3科目を受ける必要があります。必修科目は「簿記論」、「財務諸表論」の会計に関する2科目です。選択必修科目は「所得税法」、「法人税法」の税法に関する2科目、選択科目は、「消費税法または酒税法」、「相続税法」、「固定資産税」、「国税徴収法」、「住民税または事業税」の各7科目の中から受ける科目を選びます。

科目合格制度とは

税理士試験には科目合格制度が導入されています。科目ごとに合否が発表され、合格した科目は、合格以降は受ける必要がありません。例えば、1年目の税理士試験で2科目合格して3科目が不合格だった場合、2年目の税理士試験では3科目だけを受験することになります。2年目は3科目に集中して勉強ができるため、より受かりやすくなるでしょう。受験者の中には、毎年1科目のみに集中して合格を積み上げる人もいます。

税理士試験の合格率

税理士試験の科目ごとの各合格率は、いずれも15~20%程度を推移しています。令和5年度の税理士試験の合格率は21.7%でした。出題形式はマークシートではなく記述式のため、インプットだけではなく自分の言葉で説明できるアウトプットの力も必要です。

出典:国税庁 令和5年度(第73回)税理士試験結果

税理士試験の合格までの期間

税理士試験は、科目ごとの出題範囲が広く、覚える知識量も多いため、一度に全科目合格することは難しいです。そのため、多くの受験者は科目合格制度を利用して毎年少しずつ合格を目指します。合格までの期間は、短い人だと2~3年程度、長い人になると10年以上かかるともいわれています。特に、働きながら税理士試験に挑む場合は、仕事と並行して勉強時間を確保しなければなりません。そのため、合格までに5年以上を学習に費やしたというケースも少なくありません。

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税理士試験がおかしいといわれている理由

税理士試験がおかしいと言われる理由とは

税理士試験の概要を踏まえて、ここでは税理士試験が「おかしい」といわれる理由を解説します。

税理士試験に合格するための勉強期間が長すぎる

税理士試験に合格するためには、最低でも3,000~5,000時間程度の勉強時間を費やす必要があるといわれています。科目によって、必要とされる勉強時間の目安は異なりますが、法人税法や所得税法は600~700時間程度の勉強時間が必要です。

働きながら合格を目指す受験者が多くの勉強時間を確保するためには、日常生活と仕事とのバランスを考える必要があり、簡単ではありません。そのため、税理士試験に合格するためにかかる勉強時間が長すぎておかしいと感じる人も多いようです。

しかし、膨大な勉強量を必要とする試験は税理士試験に限ったことではありません。公認会計士や司法書士など、その他の士業も税理士と同様に長時間勉強する必要があります。税理士だけが特別おかしいのではなく、どのような資格、試験でも合格に向けた勉強時間の確保が欠かせません。

合格発表までの期間が長すぎる

税理士試験は、試験終了日から合格発表日まで約4ヶ月程度の期間が空きます。毎年8月に試験が行われ、合格発表は12月に行われるため、次年度に向けての学習計画を立てづらい点から「おかしい」と感じる人が多いようです。

税理士試験の合格発表の日程が遅いのは、税理士試験の問題がマークシート式ではなく記述式であることが原因です。機械に読み取らせて採点ができるマークシート式の問題用紙とは異なり、記述式の問題は採点者が一つひとつチェックをしなければなりません。採点に時間がかかり、合格発表が遅れる点は税理士試験の難点ともいえるでしょう。

しかし、令和4年の税理士試験では、8月2~4日に開催された試験の合格発表が11月30日に行われました。さらに、令和3年の税理士試験は8月17~19日に開催され、12月の17日に合格発表が行われたため、多少早くなっています。他の資格試験と比べると、まだ長い印象はありますが、それでも短縮された点は評価すべきといえるでしょう。

合否判定が自分でできない

多くの資格試験では、模範解答があり、試験を受けた後に自分で合否判定ができます。しかし、税理士試験には公式の模範解答が存在しません。また、配点も公開されていないため、自分で合否判定がしづらい点がデメリットです。このような資格試験は税理士試験以外にほとんどないため「おかしい」と感じる人も多いでしょう。

しかし、税理士試験のための多くの予備校や資格スクールでは、独自の模範解答を公開しています。そのため、これらの情報を参考にして合否判定を行うことは可能です。

税理士試験のような超難関試験は個人が独学で5科目合格することはほぼ無理ゲーだといえるでしょう。そのため、多くの方は会計事務所出たらきながら予備校などに通うのです。

公認会計士試験に合格していれば税理士になれる

税理士法では、公認会計士試験に合格している人は税理士登録が可能であると定められています。一方で税理士資格を持っていても、公認会計士を名乗ることはできません。また、税理士試験に合格した前後に、2年以上の実務経験がなければ税理士として働けませんが、公認会計士が税理士登録をする場合はその必要がない点も、税理士資格に関する法律や制度が「おかしい」といわれる理由の1つです。

しかし、科目合格制度が導入されている税理士試験とは異なり、公認会計士試験は一度にすべての科目に合格しなければなりません。また、公認会計士試験は税理士試験より合格率が低いため、税理士試験より公認会計士試験の合格を目指した方が良いとはいえないでしょう。

税務署職員は税理士資格取得できる

税理士試験には免除制度があり、税務署職員は税理士資格の受験免除が受けられます。10~15年間勤務した場合であれば、税法に属する科目の免除、23年以上勤務して指定研修を修了した場合は、会計学を含めたすべての科目の免除が可能です。長期間実務を担っていたとはいえ、試験が免除されるのは「おかしい」と考える人も少なくありません。

しかし、科目合格制度を利用して、コツコツと合格を積み重ねていけば、数年で税理士になれる可能性があります。長く税務署で働くよりも効率的に合格できるでしょう。

合格基準点を取っても合格するとは限らない

税理士試験の合格基準は、いずれの科目も満点の60%以上とされています。しかし、合格人数が決められているため、60%以上の得点を獲得しても必ず合格できるわけではありません。確実に合格を狙うためには、上位10~15%に入る必要があります。60%はあくまでも基準点であることを念頭に置いて、できるだけ高得点を獲得できるように勉強することが大切です。

試験日が平日のことが多い

税理士試験は、平日に実施されることが多く、令和4年度の試験は8月2日(火)~8月4日(木)に実施されました。一方で、同じ士業の行政書士試験や司法試験は土日に実施されています。試験日が平日の場合、平日に仕事をしている社会人にとっては受験しづらいため、他の士業の試験と同様に税理士試験も土日にしてほしいという声も少なくありません。

税理士になっても収入を得られない可能性がある

近年、AIに代表されるテクノロジーの進化が著しく、税理士の仕事も近い将来、AIが行うのではないかといわれています。実際、データ入力業務や税務書類作成などは、ソフトを使った簡略化が可能な業務です。しかし、これは税理士に限ったことではなく、どのような職種でも単純作業はAIによって簡略化されることが考えられます。

しかし、税理士の業務は、AIでは担えない複雑な業務が多数存在します。例えば、クライアントとのコミュニケーションが必要となるコンサルティング業務や経営相談などは、定型化することができません。税理士は、AIの進化を利用しながら、クライアントごとに合わせた業務ができるでしょう。

税理士試験は「おかしい」といわれることもありますが、理由を紐解いていくと理解できる部分が多いことがわかります。また、税理士試験は毎年多くの人が受験しており、人気の高い資格です。税理士になるためには、試験に合格するだけではなく実務経験も欠かせません。受験者の中には、税理士事務所や会計事務所で働きながら合格を目指す人も多くいます。

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税理士資格を取得するメリットとは

税理士試験の内容に関しては、おかしいといわれることが多い一方、税理士資格を取得することでメリットも多数あります。税理士資格を取得するとどのようなメリットが得られるかを把握しておくと、受験に向けてモチベーションが上がりやすくなるでしょう。ここでは、税理士資格を取得するメリットを5つ紹介します。

ずっと働くことができる

一般的な企業には定年が設けられており、一定の年齢に達すると退職しなくてはなりません。しかし、税理士には定年がないため、年齢問わず働き続けられる点がメリットです。税理士の平均年齢は60歳以上といわれており、高齢になっても活躍している人が多いことがわかります。また、税理士の間で男女格差がない点も魅力です。近年は、合格者における女性の割合が増加傾向にあるため、性別での格差がない資格として今後も人気になるでしょう。

独立・開業することができる

会社勤めをする場合、基本的には会社の意向に沿った働き方を求められます。自分のやりたいことがある人にとっては、会社員という働き方に生きづらさを感じることもあるでしょう。一方、税理士であれば、独立開業を目指すことが可能です。税理士登録をした後、税理士事務所や企業内の税理士として活躍するのも1つの働き方ですが、独立する税理士も多数います。独立すれば自分の裁量で働けるため、やりがいを感じられるでしょう。

転職しやすい

転職に有利な点も税理士資格のメリットの1つです。会計事務所や税理士事務所に限らず、一般企業においても税務や経営に長けた知識は求められます。税理士の資格があれば、専門性の高さやスキルをアピールできるため、年齢を重ねていたとしても転職しやすくなるでしょう。独立開業に限らず、自分に合った企業や税理士事務所、会計事務所に転職できれば、より自分のスキルを発揮できます。

年収アップが期待できる

厚生労働省による「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、従業員10名以上の規模の企業における税理士・公認会計士の平均年収は、約658万円です。一般的な企業に従事している従業員の平均年収よりも高く、独立して開業すれば、さらに年収アップが期待できます。年収1,000万円を超える税理士もいるため、夢のある職業といえるでしょう。

参考:「厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」
参考:厚生労働省 政府統計の総合窓口e-Stat「賃金構造基本統計調査」

税金の知識が身につく

税理士資格取得を目指して勉強を重ねると、税金の知識を深く身につけることができます。世の中のお金の仕組みは複雑であり、正しい知識を得るためには勉強が必要です。税金だけではなく補助金や助成金等の申請なども、知識がないと知らないうちに損をしているケースも多いでしょう。このように、税理士資格の勉強によって得た知識は、仕事だけではなく私生活でも十分に役立ちます。

今回は、税理士試験が「おかしい」といわれる理由について解説しました。税理士試験の仕組みや税理士の仕事に関して「おかしい」と思われがちな点は、いずれも理由があります。税理士試験について正しく理解していれば、「おかしい」と思うことも少なくなるでしょう。

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税理士や公認会計士、会計業界に関する記事を専門に扱うライター。会計業界での執筆歴は3年。自身でも業界についての勉強を進めながら執筆しているため、初心者の方が良く疑問に思う点についてもわかりやすくお伝えすることができます。特に業界未経験の方に向けた記事を得意としています。

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