税理士科目合格の価値とは

税理士試験の科目合格で年収は上がるのか?評価される科目と転職タイミング

2025/12/03

税理士はいわずと知れた難関国家資格ですので、一度の試験で合格できる人は殆どおらず、「科目合格制度」を利用されている人がほとんどです。
税理士資格を取得前の一部の科目に合格している人のことは科目合格者と称されています。税理士資格の取得を目指す人材は会計業界でも強く求められていますが、資格取得の途中段階である科目合格者は市場ではどのような価値があるのでしょうか?

この記事では税理士科目合格者の市場価値や年収、適切な転職タイミングについて解説します。

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税理士科目合格によって年収は変わるのか?

科目合格者の年収は、合格科目数や経験年数によって大きく変わります。科目合格者は高待遇で採用されやすくなっています。その科目について専門的な知識を身に付けている、と評価されるためです。税理士資格は難易度の高い資格ですが、科目合格であっても評価される魅力的な資格です。

税理士科目合格者の平均年収

参考までに厚生労働省が公開している「令和6年賃金構造基本統計調査」を見ると、税理士の平均年収は約856万円となっています。
一般労働者の平均年収が約443万円であることから、やはり税理士の平均年収は高い水準であるといえるでしょう。税理士は国家資格であり独占業務を行うことができることから仕事の範囲も広く、信用度の高い職業であるため年収が高くなるのは必然といえるかもしれません。

科目合格者の平均年収については1~2科目合格者は平均年収350~450万円程度が一般的です。3~4科目合格者となると、平均年収約450万円~550万円程度と大幅アップします。最終的に5科目(税理士資格取得)合格すれば税理士未登録で約500万円。税理士として登録をすると550万円超と、さらに年収が大幅アップすることも可能です。合格科目が増えるごとに平均年収が上がっていきます。ただし、経験年数や勤務するエリア、規模により給与相場は異なります。

税理士資格に関連する業務を取り扱う税理士事務所などでは、税理士有資格者でなくても科目合格数が多い人材は高く評価される傾向が強くなっています。
また、実務経験を積むことは自分の市場価値が上がるだけでなく将来独立開業などを目指す場合にも事業の土台となります。資格手当以上のメリットがあると考えられます。

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税理士試験の科目合格制とは?

税理士試験で採用されている「科目合格制度」とは、1科目ずつ受験・合格することができる制度です。合格した科目について有効期限などは設けられておらず、一度合格した科目は生涯有効となります。

1科目ずつ受験できるので働きながらでも合格を目指せる

税理士資格を取得するためには原則として税理士試験5科目に合格することが必要ですが、一回の受験ですべてに合格する必要はありません。1科目ずつ合格を積み重ねて数年かけて税理士資格の取得ができるため、勉強時間の少ない社会人であっても働きながら実務経験を積み重ねながら税理士試験合格を目指せます。

得意科目など勉強しやすい科目から選んで受験できる

税理士試験科目は11科目あり、会計科目と税法科目に大きく分けられます。

会計科目の2科目と税法科目の3科目に合格すると税理士資格が取得できます。会計科目は必須であるため選択できませんが、税法科目については自分の興味関心のある科目や将来携わりたい業務に関する科目を選ぶといいでしょう。

ただし、科目はそれぞれ合格率や所要学習時間のボリュームが異なります。ボリュームが少ない科目は難易度が低いと思われがちですが、税理士試験は相対評価試験であるためどの科目も難易度は変わらないと考えてよいでしょう。
以下、税理士試験科目を列挙します。

(1)会計科目(必須)
①簿記論
②財務諸表論

(2)税法科目(選択)
①法人税法
②所得税法
※①②どちらか1科目は必須。
③相続税法
④消費税法
⑤酒税法
⑥国税徴収法
⑦住民税
⑧事業税
⑨固定資産税
※④と⑤、⑦と⑧はどちらか1科目のみ選択可。

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年収が高くなる税理士科目

一般的に科目合格すると資格手当などの名目で給与の増額が見込まれます。
具体的な待遇は科目合格数1科目あたり月給が5千円〜1万円上がることが多いようです。年収にすると約6万円~12万円アップすることになります。5科目合格であれば年収が30万円〜60万円、それ以上の増額が見込める可能性があります。

増額に伴い業務量や責任が増加することが考えられますが、経験を積みつつ給与が増えることはやはり嬉しいものです。

3科目合格から特に評価が上がる

1~2科目の合格でも評価は高くなりますが、税理士事務所での評価が特に上がるのは3科目合格からといわれています。大手の税理士事務所では3科目以上合格している人のみを採用している場合もあります。
したがって、税理士事務所に「高い評価で」転職したい場合は3科目合格時が最適なタイミングといえるでしょう。ご自身の年齢や実務経験、タイミングによっては1~2科目合格が最適な場合ももちろんあります。

注意したいのは、どの科目でも良いわけではなく評価が高い科目に合格しておくと有利であるという点です。必修科目である会計2科目と必修選択科目である所得税法や法人税法に合格している場合は非常に評価が高く、転職の際にも有利です。これらの科目は実務でも非常に役に立つ科目であるため、税理士事務所においても優遇される上に将来独立開業する場合にも役立つでしょう。ボリュームが少ない科目や興味のある科目を選択することも1つの選択肢ですが、有利になる科目を選択することも検討してみましょう。

また、法人の顧問先が多い税理士事務所では法人税法の合格者が歓迎されますし、資産税を中心とした業務・相続業務を行う税理士事務所では相続税法や所得税法の合格者が歓迎されます。自分のキャリア形成を考えて身に付けておきたい経験をふまえ、科目を選択することもポイントとなります。
加えて4科目以上の合格者となればさらに優遇されます。早いうちから4科目合格を視野に入れて動くと良いでしょう。

未経験者・新卒でも科目合格が有利か?

科目合格者であれば実務未経験者・新卒でも優位性は上がりますが、年齢や実務経験の有無によって変わってきます。
20代であれば未経験者・新卒であってもかなり有利になりますが。30代であれば単に科目合格者というだけでは有利とはならず、それに加えて何らかの実務経験が求められることもあります。

年齢は若い方が有利ですが、最近ではどの職種でも人手不足が課題となっています。会計業界も例外ではないため売手市場が続いています。科目合格者であれば評価材料となり、就職・転職でも有利に働くことが多いでしょう。

また、税理士の高齢化が進んでおり、税理士事務所の後継者問題やスタッフの採用が難しいといわれています。
そのような背景からも科目合格者は高い需要があるといえるでしょう。

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科目合格者の段階で税理士事務所で働くのがおすすめ

税理士資格を取得するには税理士試験5科目合格と、最低2年以上の実務経験が必要とされます。
そのため、科目合格者の段階で税理士事務所で働きながら残りの科目合格を目指す人が多いです。
5科目合格したらすぐに登録できるうえ、実務経験を積みながら試験勉強をすると理解が早くなるという2つのメリットがあります。

前述のとおり転職の最適なタイミングは3科目合格時と考えると、残り2科目を働きながら勉強して5科目合格を目指すことになります。

勉強時間を確保できる事務所を選ぶ

ここで重要になるのは事務所の選び方です。税理士試験のための勉強時間を確保することが条件となるからです。
残業や休日出勤が多い場合、試験勉強の時間が確保できません。繁忙期の残業時間が少ない事務所をなるべく選びたいところですが、一般的にそのような事務所は少ないと考えられます。
税理士事務所では所得税の確定申告時期や担当法人の決算時期が集中する時期など、繁忙期が存在する場合がほとんどです。

できるだけ残業時間が少ない税理士事務所や税理士試験の直前期に休みがもらえる事務所を選ぶといいでしょう。税理士試験へのチャレンジを応援してくれる事務所も多くあります。
有休を取得しやすいか、残業を減らしてもらえるかなどを確認し、勉強しやすい環境を確保しましょう。

理解がない職場である場合、勉強や受験が思うように進まない可能性があります。特に一般企業やコンサルティング会社などでは必ずしも税理士資格の取得を求めていないことから、理解を得られない場合が多いかもしれません。
税理士資格を取得するという目的を達成するためには「勉強しやすい環境」を確保することが大切です。

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税理士の科目合格は評価対象であり年収アップに大きく関係する

本記事では税理士科目合格者の年収や評価される科目、転職のタイミング、税理士事務所の選び方について解説しました。
税理士試験の科目は1つでも合格すれば一定の知識水準を満たしているものとして評価材料となり、年収アップが期待できます。年収アップは大きなモチベーションとなるでしょう。

1科目ずつ合格を積みながら、まずは3科目合格を目指しましょう。3科目合格時点が最も評価が上がるタイミングであるため、税理士試験に理解のある事務所に転職することが望ましくなります。実務経験を積みながら5科目合格・税理士資格の取得を目指し、キャリアアップを図ってください。
税理士試験は難関資格です。効率的に試験勉強を進めようという強い意思が大切です。

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投稿者情報

税理士ライターSOU
税理士ライターSOU
現役の税理士として10年以上、会計事務所に勤務しているかたわら、会計・税務・事業承継・転職活動などの記事を得意として執筆活動を5年以上しています。実体験をもとにしたリアルな記事を執筆することで、皆さんに親近感をもって読んでいただけるように心がけています。

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