税理士の副業とは?

税理士の副業とは? メリット・デメリットやおすすめ副業先を紹介

税理士は、就業規則や税理士法を守ることで副業が可能です。副業を通じて収入を増やし、本業では得られない新しい経験ややりがいを得ることもできます。ただし、副業に時間をかけすぎると、本業に影響が出る可能性があるため注意が必要です。
また、副業を選ぶ際は税理士資格を生かせるものを選択すると収入につながりやすいでしょう。

本記事では、税理士の副業について、メリット・デメリット、おすすめの副業を詳しく解説します。

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税理士も副業できる! ただし「税理士登録」により異なるため注意しよう

税理士は「税理士登録」の形態により副業が認められる範囲が異なります。ここでは、以下の税理士登録の形態別に、どの程度副業が認められるか解説します。

●開業税理士
●社員税理士
●所属税理士

開業税理士は多くの副業が可能

開業税理士とは、自分で税理士事務所を開き、社長や所長として働く税理士です。顧客との直接契約のため、報酬も自分である程度コントロールできます。給与ではなく事業所得を得る点も他の税理士登録と異なります。

開業税理士は経営者として働くため、就業規則に縛られることがありません。そのため、自由な働き方が可能であり、副業の選択肢も広がります。例えば、メディア出演やYouTubeでの発信活動は、収入の増加に加え、税理士事務所の知名度向上にも貢献します。

なお、後述する「所属税理士」として企業で働きながら、自身でも税理士事務所を開業する働き方は「副業税理士」と呼ばれています。

社員税理士は禁止行為を守れば副業できる

社員税理士とは、税理士法人の「役員」に当たる税理士です。役員のため就業規則の制約を受けず副業も可能ではあるものの、税理士法第48条などで規定されている「禁止行為」に注意が必要です(※)。

競業禁止規定では、以下の4点が定められています。

●自分や他社のために、その税理士法人の業務の範囲に属する業務を行ってはいけない(競業避止義務)
●他の税理士法人の社員になってはいけない(他の税理士法人への加入禁止)
●税理士事務所を設置してはいけない
●利益相反取引の禁止

「その税理士法人の業務の範囲に属する業務」とは、定款に「目的」として記載された業務です。ここに税理士業務以外に会計業務が定められていると、会計業務法人で副業をすれば法に抵触する恐れがあります。

また、社員税理士法人は、顧客保護の観点から、他の税理士法人の社員になることや税理士事務所を設立することは認められていません。また、社員と税理士法人間の利益相反取引については、会社法の規定が類推適用されるため、副業としても認められません。

上記に抵触する恐れの低い副業としては、税金の基礎知識に関するコラムの執筆や、セミナーの開催などが挙げられます。また、税や会計とは全く異なる副業をするのも一つのアイデアです。

※参考:e-Gov法令検索「税理士法」(2024-11-05)

所属税理士の副業は注意が必要

所属税理士とは、税理士法人に雇われている税理士です。会社員と同じように、就業規則と労働基準法が適用されるため、これらに抵触する副業はできません。

所属税理士が副業を行う場合、自分が所属する税理士法人から書面による承諾が必要となります。なお、税理士法人がどのような副業を許可するかを明確にした上で承諾することが望ましいとされています。

それに加え承諾を得て副業を始める場合には、所属している税理士法人の規約に抵触しないよう、また税理士法人の名誉と信用を守るため、副業の種類や内容、および副業を行う広告表示を含め、税理士法人との事前の合意が必要となります。

副業をするときは、当然のことながら本業である税理士法人の業務を優先しなければなりません。税理士法人の業務を妨げないよう注意しましょう。税理士法人によっては就業規則で副業を禁止しているケースもあり、規則を破り副業をしてしまうと懲戒処分の対象になる恐れがあります。

また、「副業税理士」として、税理士法人に勤めながら個人で開業する場合、その都度、使用者の書面による承諾を得る必要があります(※)。

※参考:国税庁.「3 所属税理士」(2024-11-08)

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そもそも副業とは?本業とは別の職業で収入を得ること

そもそも副業とは、本業とは別の職業で収入を得ることを指します。厚生労働省が発表した「モデル就業規則」によると、本業と副業の関係は、時間比率と月間給与で定義されます。

本業での作業時間が7割以上かつ月間給与が副業よりも多い場合、本業が優先となります。一方、本業での作業時間が6割未満かつ月間給与が副業より少ない場合、副業が優先となります。

本業と副業を安全に行うためには、本業との兼ね合いを計算しながら活動することが重要課題となります。

税理士が副業をするメリット

税理士が副業をするメリットは、収入アップだけではありません。本業では得られない知識や経験を吸収し、別分野の仕事にチャレンジすることもできます。また、所属税理士として勤めながら副業を検討している方にとっては、低リスクで準備ができる点もメリットです。

仕事を増やした分だけ収入を増やせる

副業の大きなメリットは、仕事を増やした分だけ収入を増やせる点です。政府の資料によると、一般労働者の賃金は平成12年からほぼ横ばいで推移しています(※)。そのため、所属組織で雇われて働く場合、年齢や役職別の賃金から今後の年収をある程度予測できるものの、大幅な収入増は期待できません。

このように賃金が固定化する中、副業で別の仕事をすることで追加の収入を得ることができます。また、努力した分だけ収入を増やせることは、仕事のやりがいにもつながります。

※参考:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「図1 賃金」(2024-11-08).

本業では得られない知識や経験を得られる

副業で本業では得られない知識や経験を得れば、スキルアップやキャリアアップにつながります。

例えば、所属税理士として大企業で働いているなら、副業では個人事業主や中小企業など、本業では対応しない会計処理ができる仕事を選ぶことも可能です。また、事務のようにより現場に近い仕事を選べば、会計処理全体の把握にも役立つでしょう。

別分野のやりたいことに挑戦できる

税理士以外の仕事に気軽に挑戦できる点も副業のメリットです。例えば、Webデザインに挑戦したい、動画制作をしたいなどの希望があったとしても、これらの仕事はまとまった収入が保証されるものではありません。

税理士の本業があれば、収入額を気にせずやりたい仕事にチャレンジできます。本業に面白みを感じられないなどの悩みがあるなら、副業で自己実現をするのも方法です。

低リスクで転職・起業の準備ができる

将来的に転職や開業を考えているなら、副業でそれらに取り組むことで、余裕を持って準備を進められます。例えば、将来的に税理士事務所を立ち上げたいとしても、いきなり開業するには資金面や顧客など、多くのハードルがあります。一方、副業税理士としてコツコツと資金や人脈を増やせば、リスクを抑えながら独立しやすくなるでしょう。

本業の安定性を生かしながらリスクを取れる点も副業のメリットです。

税理士が副業をするデメリット

税理士が副業をする際には、メリットだけでなく以下のようなデメリットもあります。

●副業に割ける時間が限られている
●心身に大きな負担がかかりやすい
●生産性が落ちる恐れがある
●副業によっては収入が得にくい

副業に割ける時間が限られている

税理士の本業は平日の日中が中心となるため、副業に使える時間は終業後や休日に限られます。さらに、副業の種類によっては新たな知識を学ぶ時間も必要となり、実際に副業に取り組む時間が制約される場合があります。ライフスタイルによっては、副業をしようにもまとまった時間が取れないかもしれません。

心身に大きな負担がかかりやすい

限られた時間の中で副業の比重を大きくすれば、心身に大きな負担がかかります。睡眠時間を削ったり、食事をおろそかにしたりすれば、肉体的な負担が大きくなります。また、本業も副業も仕事の責任が重いなど、プレッシャーが大きければ精神的な負荷も大きいです。これらの状態が続けば健康を害する恐れもあります。

生産性が落ちる恐れがある

副業が負担となり、本業・副業、どちらの生産性も落ちる恐れがあります。特に副業を始めたばかりであれば、仕事を覚えるなど慣れないことも多くあります。その結果、休息をしっかり取ったと思っても疲れが抜けきらず、悪影響を及ぼすことも少なくありません。

副業によっては収入が得にくい

副業の種類によっては、思うように収入が伸びないことがあります。特に、完全出来高制の仕事や広告収入に依存する方法では、投じた時間と収入が必ずしも比例しません。そのため、努力の割に収入が得られない場合、副業を継続するモチベーションが低下する可能性があります。

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税理士におすすめの副業7選

就業規則や税理士法に抵触しないのであれば、税理士の資格や知識を生かせる副業を選ぶのがおすすめです。理由として、資格を生かせば副業でも高収入を得られる可能性が高いためです。

ここでは、税理士資格を生かせるおすすめの副業として以下の7つを紹介します。

●税務業務
●メディア出演
●予備校講師
●記事執筆・記事監修
●翻訳
●広告収入
●YouTuber

1. 税務業務

税務業務は税理士として働く中で既に身についている知識を生かせる仕事です。副業のために新たに学ぶことも少なくて済むでしょう。本業が税理士であると伝えれば、税務業務で得られる専門知識を活用し会計や税務をより正確に行うことができる人材だと認識されやすくなるので、営業にも有利です。副業として税務業務を行えば、常に新しい税務法等を学び続けられ、本業にも好影響を与えるでしょう。

ただし知識や税務処理に自信があっても、営業能力がなければクライアントを得られない点には注意しましょう。また、取引を継続するためにはコミュニケーション能力も必要です。

税務業務は高度なスキルを求められるため、高収入になる傾向が高いです。

2. メディア出演

税理士資格があれば、テレビやインターネット等の媒体で、専門知識を生かした解説等を行えます。税制に関する用語や内容、ニュースなどを誰でも分かりやすいよう、かみ砕いて解説できる人に向いている副業です。注意点は最新の税制に関する話題の解説を求められることが多いことから、常にアンテナを張っておく必要がある点です。

なお、メディアの種類によっては営業力だけでなく、コネクションも重要になってきます。また、メディア出演はどの媒体であっても人に見られるため、緊張やプレッシャーへの強さと、見た目や言葉遣いへの配慮も欠かせません。

メディア出演の収入相場は番組や媒体により異なります。高収入を目指せるだけでなく、知名度を上げられる点も魅力の副業です。

3. 予備校講師

普段税理士として働いている専門知識がそのまま生かせることから、予備校講師も、税理士におすすめの副業です。現役税理士の講義は税理士に憧れる予備校生等にとって大変有意義なものとなるでしょう。

多くの予備校では講師の給料は授業1コマ毎の報酬と設定されており、採用後は安定した収入を得やすくなります。また、税制改正など、最新の税情報を生徒に分かりやすく教えるため、自身の知識が増える点もメリットです。

ただし、講習時間以外にも事前準備や生徒対応などの業務があるため、面倒見の良さが求められます。この点を考慮せずに始めると、負担に感じる可能性があります。

収入は時給1,000円~2,000円程度となることが多いです。

4. 記事執筆・記事監修

記事執筆の副業では、税理士として働く中で得た知識を基に、会計や税務等の専門分野の記事を執筆します。フリーランスであれば完全に自分の自由な時間でできる点がメリットです。しかし、それぞれの媒体に合った体裁で記事を執筆する必要があり、文章を書けるだけでは高収入につながりにくい点がデメリットといえるでしょう。

これに対して記事監修の副業では、他のライターが書いた記事や原稿の内容を専門家の立場から確認する作業を行います。自分で記事を書く場合と比べて作業時間が短く、かつ税理士としての専門性を生かせるため、まとまった収入を得やすい特徴があります。

ただし、「監修者」として媒体に顔や名前の公表を求められることもあるため、個人情報の取り扱いが気になる方にとっては注意が必要です。

5. 翻訳

翻訳業では、会計や税務に関する専門文書の翻訳をして収入を得ます。普段翻訳を本業としていても、税理士の知識を持っていること少ないでしょう。税理士資格を持っており、併せて他言語の翻訳能力もあれば、大きなアドバンテージとなるはずです。

業務内容は会計や税務の専門書の翻訳など、副業の中でも難易度は高くなります。普段から外国法人と英語で取引をしているなど、日常会話以上の言語力が必要です。

翻訳の場合、収入は原稿の文章量や内容の深さ等により、相場に大きな開きがあります。

6. 広告収入

広告収入は、自分で制作したブログ等の媒体で、広告が表示されたり、商品が購入されたりしたときに得られます。

デメリットは、広告収入を得るためには、媒体そのものに集客力が必要なため、まとまった収入を得るまでに時間がかかるだけでなく、収益化できないこともある点です。一方、一度制作したブログ等の媒体は財産となり、高額のストック型収入を生み出せる可能性もあります。

媒体への集客方法はさまざまありますが、中でも効果的なのは専門性を生かした読者のお悩み解決コンテンツの制作です。特に税理士のように専門性と実務経験を生かせる職業は強みがあります。具体的には、「確定申告の方法を解説するブログ」や「税理士になるための勉強方法を紹介する動画」の制作などが有効です。

7. YouTuber

YouTuberとして、会計や税務に関する動画を制作・公開する方法も副業の一つです。収益の手段としては、広告収入や企業案件、Super Chat、メンバーシップなどがあり、多様な収入源を確保できます。

YouTuberの場合、広告収入の相場は投稿内容や視聴者数により変わります。非常に高い収入を得る可能性もありますが、収益化の難易度が高い点には注意が必要です。例えば、広告収入はチャンネル登録者が1,000 人以上いなければ生じません。

開業税理士であれば収益化に固執せず、動画投稿を税理士事務所の宣伝に使うなど、知名度を向上し本業の売上につなげるのも方法です。

税理士が副業を探す方法を紹介

税理士が副業を探す方法の中でも、比較的一般的なものは以下の通りです。

●クラウドソーシング
●スキルマーケット
●税理士専用求人サイト

クラウドソーシングは、専用サイトに登録して企業や個人から依頼を受ける方法です。記事の執筆や監修、翻訳などの仕事をオンラインで完結できるため、副業の時間を確保しやすいのが特徴です。

また、スキルマーケットでは、自分のスキルと料金を設定し、サービスを必要とする人とマッチングできます。自分で提供するスキルと金額を設定でき、チャットやビデオ通話なども利用できます。税理士であれば、個人向け家庭教師や税の相談などがおすすめです。

税理士専用求人サイトでは、正社員やパート・アルバイトの他に、業務委託契約の仕事を探すこともできます。税務業務のような副業を探しているなら、専門性の高い求人サイトを使うと見つけやすくなります。

税理士の専門性は副業でも生かせる!

税理士の副業は、「税理士登録」の形態によって一定の制約を受けますが、柔軟に取り組むことが可能です。副業を通じて収入を増やすだけでなく、新しいスキルや知識を習得し、キャリアをさらに広げることができます。ただし、税理士は忙しいことが多く、副業に多くの時間を割くと過剰労働になりやすいので注意が必要です。

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投稿者情報

会計業界ライターZEN
会計業界ライターZEN
税理士や公認会計士、会計業界に関する記事を専門に扱うライター。会計業界での執筆歴は3年。自身でも業界についての勉強を進めながら執筆しているため、初心者の方が良く疑問に思う点についてもわかりやすくお伝えすることができます。特に業界未経験の方に向けた記事を得意としています。

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