税理士試験をパスしたら必見!税理士名簿に登録する方法とは
2024/05/10
税理士として働く条件は、弁護士あるいは公認会計士であること、または国税庁により年1回行われている税理士試験に合格することです。
修士または博士の学位を受けていたり、税務署に一定期間勤務し指定の研修を修了していたりすれば、試験科目の学科について一部免除を受けることもできます。ただし、税理士試験に合格あるいは試験の免除を特別に受けている場合でも、通算2年以上の実務経験が必要です。
また、様々な条件をクリアし試験に無事合格しても、税理士名簿登録手続きを行わないと税理士として活躍することはできません。税理士登録をしない状態で、税理士の独占業務を行った場合は、税理士法違反で罰せられてしまうのです。
この記事では、税理士の資格を活かしてキャリアを積みたいと考えている人に向けて、税理士試験を突破したら把握するべき「税理士名簿」に関するトピックをまとめてご紹介します。
コンテンツ目次
税理士業務をするには名簿登録が必要
税理士資格を取ったら、税理士法第18条により日本税理士会連合会の税理士名簿に登録しなければいけません。税理士名簿には登録者の氏名、生年月日、事務所の名称や所在地といった事項を登録することが法律で定められています。
税理士名簿の登録を行うためには、必要となる書類を用意し、5万円の登録免許税と併せて、税理士業務を行う所在地の税理士会に納付および提出をする必要があります。書類の提出と手数料の納付が確認されると、税理士会により調査と審査が行われます。
そして、調査と審査の結果、登録に適性であると判断されると税理士名簿に登録され、併せて官報への公告も行われるのです。さらに、登録者に対しては税理士会から税理士証票が交付されます。
税理士名簿に登録するための資格や条件
税理士名簿に登録されるには、次のいずれかの条件をクリアする必要があります。
- 税理士試験の合格者
- 大学院進学や税務署への勤務経験によって税理士試験を免除された人
- 弁護士
- 公認会計士
また、税理士試験の合格者や税理士試験を免除された人は、租税に関する事務または会計に関する事務における実務経験が通算2年以上あることも条件になります。つまり、単に税理士試験に合格するだけでは、税理士として働くことはできないのです。
税理士名簿に登録する流れ
税理士登録の流れとして、まずは登録書類の提出をする必要があります。
最初に、税理士登録申請書類一式を入手します。(※1)(※2)郵送の場合は、住所・氏名を記入した上で380円分の切手を貼ったA4が入る定形外封筒を用意しましょう。そこに「新規税理士登録申請書送付希望」と書いて事務局に送付し、後に書類を送り返してもらう仕組みです。
書類が用意できたら、申請する本人が直接事務局に出向いて申請を行います。東京税理士会の場合、受付時間は平日の午前9時から11時、午後1時から3時半までです。(※3)なお、書類を提出する際に内容を確認しますが、記載に内容に誤りがあった場合は訂正する必要があります。さらに、書類が不足していた場合は、追加で提出することもあるので、時間には余裕を持っていくのがおすすめです。
それを受けて、翌月から
・税理士会支部での面接調査
・税理士会登録調査委員会での書類審査
・日本税理士会連合会・登録調査部会での書類調査
を行います。
この結果を踏まえて、登録の可否が決まる仕組みです。無事に登録が決定したら、税理士証票交付式が行われ、同時に入会手続きを済ませれば、一連の流れが終了します。
なお、税理士登録をする際は、所定の書類を提出する必要があります。(※4)まず、全員が提出する書類として、税理士登録申請書、戸籍抄本または個人事項承継所、履歴書、誓約書、直近2年分の確定申告書のコピーなどがあります。
また、税理士試験合格者及び試験免除者が提出する書類としては、在職証明書、在職証明書に係る印鑑登録証明書、勤務時間の積み上げ計算書などがあります。
この他にも都合に応じて提出しなければいけない書類があるので、登録する税理士会のホームページなどで確認し、漏れがないように用意しましょう。
税理士名簿の登録は日本税理士会連合会がすることです。しかし、これらの書類の実際の提出先は、登録を受けようとする税理士事務所、または税理士法人の所属事務所を管轄する税理士会です。日本税理士会連合会への提出書類となっているからといって、日本税理士会連合会の拠点となる事務所に直接提出しないように注意しましょう。
税理士登録する前に「面接」がある
税理士会の各支部では受理した書類にもとづいて登録調査を行います。登録調査では面接調査も行われますが、この面接調査は税理士会の登録調査委員会が行います。税理士会での登録調査の結果、登録に適しているとみなされると、次に日本税理士会連合会による調査と審査が改めて行われます。
審査で税理士の資格を取得していることが確認でき、特に登録を拒否しなければならない事由がない限りは、登録は認可されます。
ただし、どこで問題が発生するかは予測がつきません。場合によっては、再面接が行われる可能性もあります。
そして、面接で答えるべき内容を想定し、面接官から不審に思われないようにしましょう。聞かれることは、書類の内容確認がメインです。いまの住所、事務所までの通勤時間、現事務所での仕事内容、自分自身の名で確定申告を行っていないかなどの質問をされます。面接時間は、およそ1時間ほどであるケースが多いです。希望者の過去に傷がなく、書類も整っていれば、ほとんどがスムーズに通過できる審査です。
税理士登録しない人もいる理由は?
税理士登録がなければ「税理士」の肩書を使って税務の仕事をすることはできません。しかし、「税理士有資格者」として知識を活かした業務をするだけなら、税理士登録の手続きは必要ありません。税理士資格の独占業務を行わない場合、税理士登録を敢えて行わないという選択肢もあります。
税理士事務所の求人募集でも「税理士(未登録可)」とするケースは存在します。つまり、税理士としての独立開業を前提にしなければ、税理士登録をせずとも就労することは可能なのです。
こうした「未登録税理士」でいるメリットはふたつあります。
ひとつは、税理士登録費用がかからないことです。税理士登録費用は決して安くありません。そのため、「税理士試験に合格していれば税理士とみなす」というルールが勤務先にある場合、税理士登録をためらわれるかもしれません。
ふたつ目のメリットは、税理士の36時間研修の制約がないことです。税理士は年間36時間の指定研修を受ける義務があり、その達成状況は税理士会によって公表されることになります。未登録の人は研修義務の対象外となり達成状況を見られることはありません。ただし、自己研鑚としての勉強はした方が良いのはいうまでもありません。
未登録税理士でいるデメリットももちろんあります。
未登録でいることで税理士の資格をつかえず、活動に制限がかかる場合があります。税理士の独占業務を自身の名義でできないのは、最も大きな制限となるでしょう。税理士になれる資格を持っていても、税理士登録をしていない人は税理士の独占業務を自身の名義で行うことはできません。
つまり、独立開業するときは、必ず税理士登録をする必要があります。勤務先の税理士法人から求められたときも税理士登録をするべきでしょう。
長期的に響いてくるのは、先輩の税理士と知り合える交流の機会を失うことです。税理士会に所属すると税理士同士で交流を持てる機会があります。
これは税理士登録している人限定の交流会であり、職場以外で相談できる税理士との出会いの機会を得られるのは、税理士登録をする大きなメリットです。未登録税理士でいると先輩の税理士と知り合える機会を失うともいえます。さらに、税理士会の提供する資料を自分で手に入れて確認できないこともデメリットになるでしょう。
日本税理士連合会は、税理士登録を済ませた税理士と、資格を持っているだけの無登録税理士をまったく違うものとしています。本当の「税理士」として働くには、税理士名簿に登録してもらうことが必須です。税理士として登録することで、顧客からの信頼はグッと上がり、活躍の機会と幅が増えることでしょう。
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税理士の登録区分とは?
税理士登録をするときには、3つある区分(開業税理士・所属税理士・社員税理士)の中からひとつだけを選ばなければなりません。この区分は税理士にとって重要なポイントです。今後のキャリア形成にかかわる重要なことですので、それぞれの特徴をしっかりとチェックしてください。
開業税理士
開業税理士は、自分自身で事業所を開設し代表者となる税理士のことです。通常のビジネスでいえば、個人事業主にあたります。この開業税理士として税理士登録をするには、個人名義で事務所の開設をする必要があります。
開業税理士は税理士全体の8割ほどを占めています。ということは、税理士になろうとしている人の大半は独立開業を目指しているということにもなります。税理士が独立開業するとき、税理士が1人だけでは法人化はできないので個人事業主になります。従業員が何人いようとも、個人事業主ということになりますので、注意が必要です。税金も法人ではないので、個人事業主として所得税を支払うことになります。
開業税理士として登録するメリット
開業税理士には開業税理士ならではの、次のようなメリットがあります。
開業税理士の平均年収は非常に高いといわれています。営業力があり仕事をバリバリとこなしていければ、高い年収を得られる可能性も小さくないのが開業税理士の最大のメリットです。もちろん、クライアントの獲得は簡単なことではありません。最近ではコロナ禍も影響して、人が動く営業だけではなく、インターネットを活用したWeb集客で営業力を高めているような会計事務所も増えてきています。
事務所の場所から勤務時間、服装などをすべて自分で決めることができます。事業方針や、顧客の選択、人材の選定、事務所の運営のことまで決められる権限を持てるのです。ただし、事務所の成功も失敗もすべて自身で責任を持つことになります。
また、サラリーマンのような定年退職がありません。実力とやる気次第では、ずっと現役でいられます。会計事務所でも高齢な所長が活躍されているのは、安定した顧客と長期間お付き合いしていて、辞めないで継続してほしいと顧客から要望されているからというような例もあります。
開業税理士として登録するデメリット
開業税理士は自由さが魅力ですが、それがデメリットになってしまう一面があります。
税理士事務所を開業して看板を出せば、勝手に顧客が舞い込んでくるという時代ではなくなりました。事業会社などと同じく、今では自分自身で営業をして顧客を獲得していかなくては仕事が増えません。コミュニケーションが苦手であっても、インターネットを活用してWeb集客をする、会合やイベントなどに多く顔を出して人脈を広げるなどの努力が必要になります。
営業力およびその他実力次第で年収を高くできるというメリットは非常に魅力的ではありますが、それは仕事で多忙な日々との引き換えでもあります。特に開業税理士は仕事とプライベートの境界がなくなり、高い報酬を得ているケースでは24時間365日が仕事中心に回っていることも少なくないでしょう。雇われる立場とは違った意味で、仕事を心の底から好きで、仕事のために努力することを楽しめないと、開業税理士として仕事をしていくのはなかなか厳しいといえるかもしれません。
所属税理士
開業税理士の次は、所属税理士についてです。所属税理士は会計事務所や一般企業に雇われている「その他の税理士」のことです。以前は補助税理士と呼ばれていましたが、平成26年から所属税理士に名称が変更されました。
所属税理士として登録するメリット
所属税理士は従業員に相当するため、会社員と同じ働き方ができることがメリットといえるでしょう。
所属税理士と開業税理士とを比べると、開業税理士は自分で仕事を獲得してこなしていかなければ報酬は0円です。一方で、所属税理士は雇用契約によって安定した報酬が約束されています。これは所属税理士の最大のメリットのひとつであるといえるでしょう。
所属税理士は多くのケースで非常に多忙ではあるものの、仕事を自分で獲得してこなくても担当業務を上司から与えられるケースが通常です。
開業税理士は、すべて自分で獲得していく必要がありますから、営業スキルに自信がない人にとっては、とても大きなメリットです。仮に営業もこなす必要があったとしても、事務所(会社)の看板を使えることが強みになるでしょう。
所属税理士として登録するデメリット
所属税理士はいわゆる従業員にあたりますので、デメリットも会社員と似た傾向があります。
所属税理士は勤務年数・経験・年齢などによって定額の給料が決まることが多いため、仕事を大量にこなしても、残業代をつけなければ報酬は増えないというケースも考えられます。
所属税理士に限らず雇用されている立場では、仕事ができる人にばかり仕事が偏り、報酬が増えないということが起こりがちです。ただし、着実に仕事をこなしていき社内の評価が高まることで、報酬にも反映されていくでしょう。
仕事は上司を中心に動くことが多いものです。そのため、自分のやるべきタスクがとりあえず終わったとしても、上司の確認待ちや上司の仕事の手伝いにより残業が発生し、帰宅できないというケースも見られるようです。残業代がつくなら残業はかえってありがたいと考える所属税理士もいるようですが、テキパキと時間のロスなく生活したい人にとっては、拘束時間が長いのはデメリットだといえるでしょう。
社員税理士
税理士法人において、社員とは従業員のことではなく、株式会社でいう株主兼役員のことを指します。つまり、社員税理士とは税理士法人の役員のことです。社員税理士は税理士法人の業務執行者として税理士業務等を行います。
社員税理士として登録するメリット
社員税理士は会社の役員に近いため社内での立場も強く、開業税理士とは異なる強みを持ちます。
日税連の税理士実態調査報告書によると、所属税理士に比べると社員税理士の方が、給与が高くなる傾向があります。経験年数などにより給与待遇は変わるものですが、同じスキル・経験であれば責任の分だけ社員税理士の方が給与は高くなると考えてよいでしょう。
開業税理士は事業が快調の時こそメリットが大きいですが、個人事業主ならではのデメリットもあります。社員税理士は税理士法人に所属するため、開業税理士にはないメリットを受けることができます。社内に相談ができる税理士がいるほか、社会保険や退職金制度のといった優遇も受けることができます。
社員税理士として登録するデメリット
社員税理士は高待遇を得やすいですが、重い責任がかかることがデメリットといえるでしょう。
社員税理士は税理士法人の役員として、所属する税理士法人への無限連帯責任があります。もちろん税理士法人で債務履行が難しいケースに限りますが、責任は税理士法人を脱退したときは脱退登記から2年、税理士法人を解散したなら解散登記から5年間は続きます。キャリアチェンジにあたって後を引く要素が残ることは、やはり歓迎しにくいところです。
社員税理士といっても税理士の資格登録以外は条件を問われないため、社内での立場は設立や就任の経緯によります。
税理士登録に必要な書類一覧
提出する書類は申請内容によって異なりますが、すべての申請者が用意しておくべき書類は次の通りです。
税理士登録申請書が5通
用紙は日本税理士会連合会の公式HPから印刷することが可能です。5通のうち正本となる1通は自筆による記入が必要ですが、そのほかの4通はコピーしたものでも構いません。ただし、自署と押印についてはそれぞれ必要となっています。
登録免許税の領収書
登録免許税は登録免許税法の規定で定められている税金です。国税収納機関で品川税務署宛に6万円を納付し、領収書を受け取っておきます。領収書は登録申請書の正本の裏面に貼りつけ、2カ所に割印をしましょう。なお、登録免許税の電子納付は認められていません。
写真
写真は申請書提出日前の3ヵ月以内に撮影されたものでなければいけません。サイズは縦2.8センチメートル、横2.4センチメートルくらいのものを使用し、裏面には必ず氏名と撮影年月日を記入しておきます。背景が無地であること、脱帽の正面向きであること、上着を着ていること、男性であれば、さらにネクタイをしている写真であることも条件です。数は3葉必要で、1葉は税理士証票に貼りつけるためのものとなります。
身分証明書1通、戸籍抄本または個人事項証明書1通、世帯人員の住民票の写し1通
身分証明書とは本籍地の市区町村により発行されるもので、禁治産者あるいは準禁治産者の宣告の通知を受けていないこと、後見の通知を受けていないこと、破産宣告または破産手続き開始決定の通知を受けていないことを証明するための書類となります。
外国籍でしたら、勤務先の上司などから受ける書類を代わりとします。さらに、戸籍抄本や個人事項証明書は不要です。いずれの書類も、申請書を提出する日の3ヵ月以内に発行されたものを用意します。
成年被後見人や被保佐人、被補助人として登記されていないことの証明書1通も必須です。この書類も、申請書を提出する前の3ヵ月以内に発行されたものでなければいけません。
履歴書
1通必要です。用紙は日本税理士会連合会の公式HPで印刷できる指定のものを使うことが定められています。履歴書にある「賞罰・免許・資格」欄には、必ず税理士となる資格を記載しておきましょう。
税理士会会長宛の誓約書
1通必要です。用紙は日本税理士会連合会の公式HPで印刷できる指定のものを使いましょう。
日本税理士会連合会所定のはがき1枚
日本税理士会連合会所定のはがきは、税理士名簿に登録された内容の通知に使われます。このため、宛先として自宅の住所を記載しておきます。切手を貼り付けておく必要はありません。
所得について確認できる書類1式
所得の内訳書を含む直近2年分の確定申告書のコピーか、住民税の(非)課税(所得)証明書です。これらの書類提出時には、5万円の登録手数料も忘れないようにしましょう。
試験合格者および試験免除者が用意する書類
試験合格者と試験免除者は、税理士法第3条により実務経験が必要となります。このため、全申請者に共通する書類に加えて実務経験を証明する書類も提出しなければいけません。必須となる書類は3つです。
- 在職証明書
- 在職証明書に係る印鑑登録証明書
- 在職証明書の確認書類となる源泉徴収票または確定申告書のコピー
これらは、それぞれ1式ずつ必要となります。
在籍証明書は勤務先の主となる事務所の代表者の証明を、日本税理士会連合会所定の用紙を使って作成します。印鑑登録証明書は申請書を提出する前の3ヵ月以内に発行されたもので、在職証明書に押印された印鑑を証明するものであることが条件です。
印鑑登録証明書の発行を勤務先から受けることができないケースでは、在籍証明書の証明者が作成した「印鑑登録証明書が発行できない旨の事情説明書」を提出します。
確定申告をしている人が提出する書類は、確定申告書の第1表、第2表、分離申告しているなら第3表です。さらに、収支内訳書と青色決算書も求められます。ただし、税務官公署から発行された職歴証明書を使用するときは証明書そのものが公文書となるため、印鑑登録証明書や源泉徴収票、確定申告書のコピーは不要です。
他にも、税理士事務所と税理士が運営する会計法人が併設されている職場だったり、併設されていなくても申請者が併行して勤務していたりするケースでは「税理士事務所(税理士法人)と会計法人の関係について」という書類が1通必要となります。
会計法人の代表者や目的を確認するために登記事項証明書(履歴事項全部証明書)と株主名簿(代表者の署名・押印があるもの)の添付も必須です。さらに、会計業務と他の業務を兼任しているときには「職務概要説明書」を、正規雇用に比べて勤務日や勤務時間が短い働き方をしているケースでは「勤務時間の積み上げ計算書」を、実務経験を積みながら大学院に通学していたなら「大学院の通学状況説明書」を提出することとなります。
税理士登録に必要な期間
税理士登録は、書類を提出してから登録が完了するまで最低でも2ヶ月かかります。
あくまでも、「最低でも2ヶ月」ですので、審査内容次第で期間が長引く可能性は大いにあります。まず、登録の受付は基本的に平日の9時から17時で行われています。登録希望者は直接税理士会へと足を運んで、書類を渡さなくてはいけません。書類を受け取っても税理士会はすぐに審査・調査を始めるのではなく、1ヶ月のうちに集まった申請書をまとめて翌月から開封し、調査を始めます。
そして、希望者相手の面接、登録調査委員会による書類審査、税理士会による書類審査などが行われていきます。
ここまでで問題がなければ、審査開始の翌月に登録の許可がおります。つまり、スムーズにいけば2ヶ月で登録が完了します。
ただし、どこで問題が発生するかは予測がつきません。たとえば、調査委員会の審査は通過したものの、税理士会に書類が戻ってきた後、書類内容に不審点や不備が見つかったとします。そうした場合、税理士会は「再調査」を1から行い始めます。場合によっては、希望者本人が呼び出されて再び面接を受ける可能性もあります。こうした再調査が長引けば長引くほど、審査期間の終わりも見えなくなってきます。
審査をできるだけ早く終わらせるには、最低限、書類の不備をなくすことは大前提となります。そして、面接で答えるべき内容を想定し、面接官から不審に思われないようにしましょう。希望者の過去に傷がなく、書類も完璧に整っていれば、問題なくスムーズに審査を通過できるはずです
税理士名簿の登録や維持にかかる費用
税理士名簿の登録にかかる費用としては、主に以下のものがかかります。
・日本税理士会連合会に登録免許税領収証書代として6万円、登録手数料として5万円
・地域の税理士会への会費がおおむね10万円から15万円程度(地域によってかなりばらつきがあります)
更に、登録にあたっては戸籍抄本または個人事項証明書を手配しなくてはいけないので、これらの発行手数料もかかります。
いずれにしても、まとまったお金が必要になるので、あらかじめ用意しておきましょう。会計事務所や会社の方針にもよりますが、登録手数料や税理士会への会費を負担してくれるケースもあります。
また、新規登録をする際には、実務家として活動するための研修を受ける必要があり、この研修費用も実費で支払うことになります。研修費や研修に使用するテキスト代などをすべて合計すると、およそ5,000円程度かかると考えておくといいでしょう。
このほか、将来的に返還はされるものの、一時的に預託金を5万円支払う必要があります。
税理士資格を維持するための費用としては、税理士会へ支払う年会費が当てはまります。前述のように、年会費は所属する税理士会によって違うため、一律で考えることはできないのですが、どこの税理士会であっても1年目に必要なのは入会金と会館建設費で、合わせて5万円~6万円程度、毎年かかってくる年会費としては10万円程度です。これらを合計すると、2年目以降は約10万円が継続的にかかってくる費用であることがわかります。
税理士会というのは、全国を地域ごとに区分したブロック会と、ブロック会のなかでさらに細かく区分した支部会に分けられています。税理士として活動するためには、自分が所属するブロック会と支部会にそれぞれ年会費を払う必要があります。
ちなみに、1年目にかかるブロック会費と支部会費については月割計算になります。どんな士業でも会費というものはかかってきますので、税理士だけが特別ということではありませんが、合格後に資格を維持するための費用はおおむね10万円~15万円と考えておけば十分でしょう。
税理士名簿登録後のキャリアプランをしっかりと考えよう
税理士として登録が済んだら、自分のキャリアプランや働き方についてもしっかりと考えていきましょう。
開業税理士は、自分で事務所を開く働き方です。この記事でもすでに解説したように、定年がなく、働き方を自分で決定できる自由さと、営業力次第で年収を高くできる魅力が強みのキャリアです。その反面、顧客開拓などの営業もこなさなければならず、仕事とプライベートの境界がなくなってしまうことが短所となります。
勤務税理士は、税理士法人で共同経営する立場につく役員待遇の「社員税理士」と、雇われて給与所得を得ながら働く「所属税理士」があります。会社に所属することで開業税理士にはない安定さが手に入りますが、それぞれメリット・デメリットがあることも理解して、キャリアプランを考えましょう。
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公認会計士や税理士を目指すなら、実務経験を積みながら資格取得も目指せる事が理想です。会計業界に特化した求人サイト「会計求人プラス」ならそんな職場も探せます!
投稿者情報
- 現役の税理士として10年以上、会計事務所に勤務しているかたわら、会計・税務・事業承継・転職活動などの記事を得意として執筆活動を5年以上しています。実体験をもとにしたリアルな記事を執筆することで、皆さんに親近感をもって読んでいただけるように心がけています。
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