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需要が高まる文書情報管理士の知識とは?

文書情報管理士とは?試験内容や難易度について解説

2023/11/01

テレワークの急増したことも要因の1つですが、すでに電子契約、請求書の電子化などが一般化してきており、文章の大半はデジタル化されているようになりました。

しかし、企業で文章をデジタルで扱うにあたり、適切に管理できているのか・保存方法に誤りがないのかなど、デジタル化のルールに疑問や不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

このように書類の電子保存(デジタル化)が企業で浸透しつつある中、文書情報管理士という資格の必要性が高まっています。

文書情報管理士は文書のスキャナ保存の方法やマイクロフィルム活用に関する技術や法律など、文書のデジタル管理に必要な知識を検定する資格です。民間企業に限らず、官公庁や自治体でも求められている資格といえます。

この記事では文書情報管理士の試験の詳細や難易度などについてご紹介します。書類の電子化を進めようと検討している場合は、今後の参考にしてみてください。

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文書情報管理士とは?

文書情報管理士とは、文書のデジタル管理に必要な知識の検定資格です。紙文書をパソコンの画面で閲覧するためのスキャナ保存に関する内容や、デジタル文書の安全かつ効率的な保管のための技術および法律など、幅広い内容が問われます。

文書情報管理士の資格試験自体は2001年から実施されていますが、ペーパーレス化の推進や近年施行された法律により、以前よりも注目度が高まっている状態です。

文書情報管理士と関連性の深い法律として、e-文書法と電子帳簿保存法が挙げられます。

e-文書法とは法令で民間企業における保存義務がある文書について、紙ではなくスキャナ保存を認める法律です。電子保存に関する一般的なルールや保存要件などを定めています。対象となる文書として、個人情報・名簿・議事録・契約申込書などの法定文書が挙げられます。

電子帳簿保存法は国税関係の文書の電子保存についてルールを定めた法律です。決算関係の書類や請求書など、会計・税務に関する文書を対象としています。

e-文書法と電子帳簿保存法はいずれも文書の電子保存に関する法律ですが、それぞれ対象とする文書の範囲が異なります。保存要件として求められる要素も違うため、個々に確認が必要です。

文書情報管理士はe-文書法と電子帳簿保存法、両方の知識が求められます。

また、電子帳簿保存法について、更に詳しく知りたい場合は「2022年に施行された電子帳簿保存法の改正で税理士の業務はどう変わる?」の記事をご覧ください。

文書情報管理士に必要な知識

文書情報管理士に必要な知識として、資格の認定を行う公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)は以下のように公表しています。

  • 文書の作成・保管・廃棄までの過程
  • 企業の各部署において作成される書類の種類およびそれぞれの役割
  • 文書保管に関する法律や規格
  • コンピュータネットワーク上で取り扱われる文書の仕組み・取り扱いの方法

文書の保管に関する法律から実務的な知識まで、幅広い範囲の知識が問われる資格です。新入社員に必要な一般常識レベルから専門的な内容まで深いレベルの知識も求められます。

参考:公益社団法人 日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)「JIIMA認定の資格 文書情報管理士」

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文書情報管理士を取得するメリット

文書情報管理士の資格を取得するメリットとして、大きく2つ挙げられます。

ひとつは、文書保管に関する専門知識を身に付けられる点です。

文書の保管や電子化そのものに複雑な作業は必要なく、やり方さえ知っていれば誰でも実施できます。しかし、ルールや保存要件を知らなければ、曖昧な認識により誤った方法で電子化の作業をしてしまう恐れが大きいです。

文書保管を正しく実施するためには、法律を含め高度な専門知識も必要となります。文書情報管理士の資格取得を通じて、文書保管に関する正確かつ高度な知識を身に付けられるでしょう。

もうひとつは、業務効率化や適切な文書管理といった実務面での直接的なメリットも期待できる点です。

文書情報管理士の知識を活用することで、職場での文書管理が改善される可能性が高くなります。結果として、実務面で以下のようなメリットの享受を期待できます。

  • 電子保存によるペーパーレス化により物理的なスペースをとらなくなる
  • 必要な文書をすぐに見つけ出せる
  • 曖昧な理解による自己流での文書管理を行うリスクがなくなる
  • 適切な文書管理により、関係者間での共通認識獲得がしやすくなる

法的な知識だけでなく、実務で活用できる知識も身に付くため、結果として業務効率化につながるでしょう。

文書情報管理士の試験詳細

この章では、文書情報管理士の試験詳細を解説します。
※今回紹介する内容は2023年4月時点の情報に基づきます。

試験の概要

試験はCBT方式(Computer Based Testing)で実施されます。コンピューターを用いて行う試験であり、全国約350か所の試験会場から好きな場所を選択できます。

2級・1級・上級という3つの級があり、いずれも正答率70%以上で合格です。試験終了後、画面に合否の確認画面が表示されます。また、受験したその日に会場で合否通知のレポートを受け取ることができます。試験時間は90分です。

受験資格

文書情報管理士2級に特別な受験資格はありません。学歴・職歴・保有資格等を問わず誰でも受験できます。

文書情報管理士1級はすでに2級を取得していること、上級は1級取得済みであることが条件です。

受験料

文書情報管理士の受験料はどの級も同額です。一般受験料のほか、団体受験および学生受験による割引制度があります。

受験料は以下の通りです。

  • 一般受験料:11,000円
  • 団体受験料:8,800円(1事業所20名以上が条件)
  • 学生受験料:7.150円

※すべて税込価格

試験日

試験は毎年夏と冬の年2回実施されます。前述のようにCBT方式の試験であり、40日間の試験期間中であれば好きな日時を選ぶことができます。また受付期間内かつ予約した受験日の3日前までであれば、受験日および受験会場の変更が可能です。

参考として、2023年夏試験のスケジュールを紹介します。

  • 受験申込期間:2023年6月20日~8月28日
  • 試験期間:2023年7月20日~8月31日
  • 合否通知:試験直後に画面に表示・会場で合否レポートを配布、合格者には9月下旬に認定証書を授与

試験内容

2級・1級・上級それぞれで求められる具体的な能力を紹介します。

2級に必要な知識・スキル

  • 電子化文書やマイクロ写真に関する基礎知識および実技能力
  • 文書情報マネジメントに関するソフトウェア・ハードウェア・ネットワークの知識
  • 文書情報マネジメントに関する日本特有の法令や標準規格に関する基礎知識

1級に必要な知識・スキル

  • 2級の内容に加え、各分野の専門的な知識および応用的な実技能力
  • 文書情報マネジメント作業に従事する者への指導力

上級に必要な知識・スキル

  • 1級までの内容
  • クライアントの抱える問題や課題の本質を明確化できるだけの分析能力およびシステム構築能力
  • 文書情報管理に関する専門知識・提案能力
  • 文書情報管理の費用対効果を高められるだけのコスト意識および能力

更新手続きについて

文書情報管理士資格の有効期間は5年です。

更新の対象となる人に対して、有効期限の約4か月前に更新の案内が届きます。こちらの案内に記載されたIDを使ってログインし、更新料を振り込んだ後、必要な課題を実施・提出します。

文書情報管理士の難易度

2022年冬試験の文書情報管理士検定試験要綱によると、2021年夏試験の合格率は以下の通りです。

  • 2級:61%
  • 1級:61%
  • 上級:56%

上級試験でも半数以上の人が合格となっています。決して難易度が低いとはいえませんが、コツコツ勉強すれば十分に合格を狙える試験でしょう。

文書情報管理士の勉強時間

文章情報管理士に合格するための勉強時間

文書情報管理士の勉強時間は60~100時間程度、上級でも120時間ほどの勉強時間で合格が狙えるといわれています。文書管理に関する知識や経験を有していれば、より短い勉強時間でも合格は可能でしょう。

1日2時間の勉強を2ヶ月ほど続ければ十分な勉強量を確保できるはずです。

文書情報管理士は独学で合格できるのか?

文書情報管理士は独学でも合格できる可能性が高い試験です。

公式の参考書からの出題率が高いため、参考書を一通りこなすことで効率的に勉強できます。実務的な内容については、日々の業務を通じて勉強できるケースもあるでしょう。

また、試験日の約1ヶ月前から受験対策セミナーが実施されます。2023夏試験の受験対策セミナーはオンラインであり、動画配信期間中であれば繰り返し視聴が可能です。

公式による参考書やセミナーなど勉強方法が多数存在するため、独学での勉強がしやすいです。

税理士や会計事務所スタッフが取得する有効性

税理士や会計事務所スタッフにとって、文書情報管理士の資格は取得する有用性が高いといえます。

会計事務所では個人情報をはじめ、機密情報を多数扱います。また、会計・税務業務がメインという性質上、証憑や決算関連の帳簿など文書の数・種類ともに膨大です。会計事務所の業務効率化には、文書のデジタル化が必要不可欠といえるでしょう。

文書情報管理士の資格を取得することで、文書の適切なデータ化や管理が可能になります。業務の効率化が実現し、より良い労働環境になる可能性が高いです。

多くの紙媒体を扱う必要性が低くなるため、文書情報管理士は税理士や会計事務所スタッフにおすすめの資格です。

まとめ

文書情報管理士の資格を取得すれば、文書をデータ化して保存管理し、パソコン上で閲覧できる技術を得られます。

DX推進、働き方改革などの影響により、書類のデジタル化は進み続けるでしょう。そのため今後、デジタル文書の管理やコンテンツ管理に対する重要度はますます高くなるはずです。

正確なデジタル文章の取り扱いを身に付けたい方、とくに多くの紙媒体を扱ってきた会計事務所や経理職の方にとって、文書情報管理士の資格を取得するメリットは大きいでしょう。

適切な情報管理や効率化のためにも、文書情報管理士の資格取得に挑戦してはいかがでしょうか。

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投稿者情報

現役公認会計士カズ
現役公認会計士カズ現役公認会計士・税理士
公認会計士資格を取得しており、現役で公認会計士として仕事をしています。税理士資格も持っていますので、財務、会計、税務、監査などの専門的な業務経験も豊富にあります。ライターとして5年以上執筆しており、専門的でリアルな内容が好評いただいています。

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