税理士は人材不足!その解消方法と採用を成功させるポイント
2023/11/01
近年、税理士事務所や税理士法人で人手が足りないという話を耳にすることが増えました。実際に中堅以上の税理士法人であっても経験者の中途採用いは苦戦しているようです。
では、なぜ会計業界での人材不足が起こっているのかなどの疑問について、この記事で詳しく解説します。
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コンテンツ目次
税理士事務所の人材不足はなぜ起きているのか
近年、税理士業界では人手不足が叫ばれ、売り手市場が続いている傾向です。少子高齢化が進む日本では、労働人口の減少が深刻な問題となっています。会計事務所に限らず、あらゆる業種において人材不足は喫緊の課題となっています。そのため、税理士業界の特色をふまえた対策を講じることが有効です。
税理士事務所が人材不足になっている理由
なぜ人材不足になっているのか、理由を4点に絞って説明していきます。
税理士試験の受験者が減少している
税理士試験の受験者数が大きく減少しています。国税庁の統計によれば、2015年の受験者数は約3万8千人でしたが、2022年には約2万8千人まで減少しています。特に若者層ほど税理士試験離れが進んでいます。その原因は、合格するまでの期間が長いことと、税理士業務はAIに代替されるという情報が拡散していることにあると言えるでしょう。
税理士試験を突破するには最短でも2年、一般的に5年から10年かかるといわれます。さらに5科目合格者が試験お合格してから税理士登録には2年の実務経験が必要です。(事前に実務経験を積むこともできます。)
また、税理士の仕事はAIに取って代わられる、という話をよく耳にします。海外で発表された論文に「無くなる職業」としてランクインしたことから、情報が流布したと考えられます。
長期にわたる試験勉強を乗り越え、苦労して税理士になったとしても、AIに仕事を取られるのだとしたら、「将来税理士になりたい」と思う若者が減ってしまうのは当然の結果かもしれません。
しかし、2023年の税理士試験受験者数は増加していることは今後の明るい展望になっています。1つの要因としては税理士試験の受験資格が緩和されたため、より広くの層から受験希望者がでてきたことが考えられます。また、コロナ禍も緩和されたことにより試験を受けやすい環境になっていることも要因の1つとして考えられます。
大規模な税理士事務所が増えている
総務省の統計によれば、税理士事務所数は減少しています。税理士事務所の吸収や合併、税理士法人化、高齢化による個人事務所の廃業などもあり、全体の事務所数はゆるやかに減少が進んでいる中、大規模な税理士事務所が増えています。
大規模な税理士事務所は、中小規模や個人の事務所とは異なり、高い給与や手厚い福利厚生などを実現しやすく、良い待遇を整える余力があります。少ない人材が大手に流れてしまうことが考えられます。
税理士需要の増加
国が推進する働き方改革などを背景に、1つの企業に長く勤務するスタイルから、副業やフリーランスなど多様な働き方にシフトする傾向があります。副業や個人事業主の増加に伴い、個人の確定申告が増えています。クラウド会計ソフトの普及などもあり、自分で申告する人も多いのですが、税理士に依頼する数は今後も増え、需要の増加が予想されます。個人の確定申告期限は毎年3月15日ですから、同時期に業務が集中し残業が続くなど、職員は疲弊してしまうのです。
さらには2023年10月にはインボイス制度が始まりますが、対応業務が増加することは予想されています。
繁忙期のみならず業務が増加していまうことは既存スタッフへの負荷が心配されます。
税理士事務所職員の待遇が低い
繁忙期の残業が多いにもかかわらず、他の業種に比べてパートや職員の給与が安いという傾向があります。特に、税理士資格の有無が給与に影響します。税理士資格を持たないパートや職員は、他の業種の待遇面に惹かれ、転職先を探す場合も少なくありません。
また、税理士業界においては、事務所で雇う=「勉強させてやっている」という考え方が古くからあるといわれます。高齢化が進む会計事務所などでは特に給与が低くなりがちです。人材の定着が難しい状況では、古い思考は捨て、年収アップなど待遇改善は必須要件でしょう。
税理士事務所の人材不足が及ぼす悪影響
税理士事務所の人材不足問題は、どのような悪影響を及ぼすのでしょうか。
職員が業務過多になってしまう
職員が少ない状況で、新規の顧客を受け入れると、当然職員の業務量が増えます。1件あたりに費やせる時間が減り、ミスが増えるなど業務の質が低下してしまいます。良いサービスを提供できなくなれば、顧客の満足度が低下し、顧客離れの可能性もあります。加えて、職員のモチベーション低下、退職などの可能性もあります。
新しい取り組みへの遅れ
ITの発展により、会計ソフトは著しく進化しています。単純な記帳代行等は新しい会計ソフトなどを積極的に取り入れることで業務は効率化され、経営相談などに手厚く応じることができるなど顧客に対するサービスの質が向上します。しかし、人材不足の状況では、職員は目の前の業務で手一杯、ICT化・DX化などの新しい取り組みへの余力がなく、業務改善が進みません。職員の疲弊を解消できず、顧客のニーズに応えられない悪循環が続きます。
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税理士事務所の人材不足の解消方法
税理士事務所における人材不足の解決策は次の4点です。
未経験者の採用と育成
有資格者、科目合格者、公認会計士や経理部門経験者などをスタッフとして採用できれば即戦力となり得ますが、大規模事務所との獲得競争は熾烈です。未経験者の採用と育成を目指すことが現実的です。研修や教育制度を整え、未経験者を育成することは人手不足の解消に効果的です。
シニア層の採用
若手人材だけでなく、シニア層の採用を積極的に行うことも重要です。異なる職種からの転職であれば、その経験を活かした新しい付加価値をクライアントに提供できる可能性があります。シニア層が働きやすい体制を整備すれば、人材不足解消だけでなく、事務所の成長にも繋がるでしょう。
復職者の採用
結婚出産、介護などで退職した職員を再度採用することも視野に入れましょう。その際、フルタイムだけでなく、時短勤務やテレワークなど、フレキシブルな働き方を可能とする仕組みづくりが大切です。
復職者の採用により、知識やノウハウ、スキルを他の職員にうまく承継できれば、人材育成にも役立ちます。
IT活用などの業務効率化
クラウド会計ソフトが急速に普及し、会計業務の一部をITによって代替できる時代が来たと言えます。積極的にテクノロジーを利用することで業務効率化を図り、職員の業務負担を軽減する取り組みが必要です。効率化により余ったリソースで、複雑な税務や、顧問先の生産性向上につながる提案などを行えば、顧問料や売上アップの可能性もあります。
税理士事務所が採用活動を成功させるポイント
人材不足の中、どのような採用活動を行えば良いのでしょうか。成功させるポイントを5点、ご紹介します。
どんな人材が欲しいのか明確にする
資格の有無、科目合格の有無、業界経験の有無など、どんな人材を求めているのか明確にすることが重要です。採用基準や、自社に合う適性について、採用したい人物像をはっきりさせておきましょう。
柔軟な採用基準や雇用形態の設定
未経験者、シニア層、復職者など幅広い採用を行うのであれば、その採用基準の設定、そしてフレキシブルな働き方を可能にする雇用形態の設定が大切です。就職希望者の視点に立って考えましょう。
自社の魅力をわかりやすく伝える
事務所の特徴や経営方針、所長自身の信念や職場の雰囲気などを、求人情報や面接を通じて求職者にわかりやすく伝えましょう。入社後の相性の不一致を避け、人材の定着に繋がります。
社内教育の体制を整える
未経験者でも十分に活躍できる環境づくりは非常に大きなポイントです。研修制度を充実させ、事務所内の教育体制を整えましょう。外部の教育カリキュラムを活用するのも一案です。
競合となる税理士事務所の採用活動を注視する
自社の求める人材が、他の税理士事務所との「採用競合」になる可能性があります。競合状態においては、他社との差別化が重要です。他社の採用活動を注視し、他社の用意している待遇面などを分析しながら、求職者に選ばれる事務所づくりを行うことができます。
税理士事務所も時代に合わせた人材不足の解消を
人材不足の状況が続くと、事務所経営に悪影響、悪循環をもたらします。そのため、人材不足の解消は重要な課題です。
特に中小企業、零細企業とも言える個人で経営されている税理士事務所の場合は、人手不足になってしまうと代表税理士や特定のスタッフに負荷が大きくかかってしまう状態になってしまいがちです。
まずは、人材採用の目的と、求める人材を明確にすることが大切です。理想とする人材に情報が届くよう、自社の強みや魅力をアピールしやすい求人媒体を利用することは非常に効果的です。会計業界に特化したサービスでしたら、税理士事務所や税理士法人の特徴や募集要項を魅力的に伝える術も把握しておりますし、1つ1つの事務所の特徴や強みを余すことなく伝えることも可能です。人材不足にお悩みの方は、ぜひ会計業界専門の会計求人プラスにご相談ください。
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投稿者情報
- 現役の税理士として10年以上、会計事務所に勤務しているかたわら、会計・税務・事業承継・転職活動などの記事を得意として執筆活動を5年以上しています。実体験をもとにしたリアルな記事を執筆することで、皆さんに親近感をもって読んでいただけるように心がけています。
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