遅くない!社会人から公認会計士を目指すには
2023/11/27
超難関としても有名な三大国家資格である公認会計士、ご存知の方も多いと思います。
多くの受験者は学生のうちから勉強を始めていて、大学を卒業までに合格し、そのまま監査法人へ就職という流れを通るのが王道だろうと思っていませんか。
確かに学生の方が勉強時間を確保することは難しくないはすです。社会人となり働きながら勉強と仕事を両立しようとすると、学生のほうが有利に見えてしまう面もあるでしょう。
実際のところどうなのでしょうか。
この記事では社会人になってから公認会計士を目指すのは遅すぎるのか解説するとともに、受験者や合格者における社会人の割合を確認したり、社会人が目指す場合の注意点や合格したあとのキャリアプランについて説明します。
結論からいえば、30代でも公認会計士試験に挑むのは遅くないと言えます。
その理由など詳しく解説いたします。
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コンテンツ目次
社会人から公認会計士を目指すのは遅くないのか?
資格を取得するまで時間がかかる
公認会計士は日本の三大国家資格の一つなので、資格を持っていれば地域によりますが業務に就くのは難しくないことが多いです。
しかし、資格を取得し公認会計士として登録を行うためには、公認会計士試験(短答式試験、論文式試験)に合格するだけでなく、3年間の実務経験を積み、さらに3年間実務補修所に通い、修了考査に合格しなければなりません。
つまり一度ですべての段階をクリアしたとしても、資格取得には何年もかかるのです。
20代から目指す場合
転職を希望する公認会計士にとって間違いなく有利に働く条件のひとつは若さです。
特に、20歳以上であれば、採用される可能性は十分にあります。
新型コロナも5類になったこともあり、採用傾向も活発化してきていてコロナ禍以前に近づいてきておりますので「公認会計士試験に合格していれば就職できる確率が高い」と思っても間違いないでしょう。
ただし、資格を有していれば良いということでなく、公認会計士や社会人としてふさわしくないと思われる部分があれば、就職は不利になりますので、注意しましょう。
20代は若さ、意欲、ポテンシャルが武器になりますので、強みを活かした就職・転職活動を目指しましょう。
大学卒業時に公認会計士に合格している20代学生の多くは大手監査法人「BIG4」への就職を検討しています。
30代から目指す場合
20歳代であれば採用される確率は高くなりますが20歳代でなければいけないというわけではありません。
30代前半であるなら、面接で自分の長所をしっかりとアピールすることが大切です。
30代後半の場合は、経理や会計職で培った経験をアピールしましょう。
若い方が有利なのは事実ですが、30代以上の方にもチャンスがないわけではありません。
BIG4監査法人のそれぞれのコンサルティング業務だけを比較しても、その特徴には違いがあります。
30代で転職を検討するのであれば、これまでのキャリアが役立つ企業選定が重要になるでしょう。
40代から目指す場合
40代以降から目指すのは厳しいという見方も否定はできないでしょう。
ただし好景気などの要因が重ねれば、求人がみつかる可能性もあります。
公認会計士の業務以外の、スキルや業務経験、マネジメント経験などアピールできる点があれば可能性は高まるでしょう。
会計や税務の職務経験や、大企業での経験があればアピール可能です。
特に昨今ではIT関連の知識や経験も求められることが多くなっていますので、IT関連スキルや経験を活かしましょう。
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社会人からキャリアチェンジする強み
職業に就いてから転職して公認会計士になるメリットは、これまでの「実務経験」です。
公認会計士分野のみの経験と比較して、他業種での経験があることが有利であることは言うまでもありません。
特に、会社員時代に営業やマーケティング、新規事業開発などの第一線で結果を出してきた人は、公認会計士になることで大きなアドバンテージになります(もちろん、バックオフィスの経験も有効です)。
社会人が公認会計士を取得した場合のメリット
高収入が得られる
公認会計士として登録すると、非常勤の監査でも1日数万円稼げるケースも珍しくありません。
独立開業して会計事務所を経営して、年収3,000万円から5,000万円を稼ぐケースも少なくありません。
年収1,000万円は実現困難な高い壁だとは思わなくなります。
キャリアの選択肢が多い
公認会計士は上場企業やベンチャーキャピタルからも求められています。
コミュニケーションに問題がなければ選択できるキャリアプランも多く、転職に困ることはないはずです。
社会的信用度が高い
AI技術の発展により、単純作業の減少が予想されています。
ただし単純な会計・税務申告は縮小したとしても、会計・財務・経営戦略に関する複雑な業務は縮小しないでしょう。
会計資格の最高峰である公認会計士資格の社会的信用度は高く、将来性は明るいと言えます。
景気に左右されにくい
大きなメリットは、会社に縛られることなく、自分の人生を自由に築けることです。
収入確保も難しくないため、ライフワークバランスに余裕が持てて、自分の好きなように時間を使うことができます。
そのため、景気に左右されずらく、安定して仕事を得ることができるでしょう。
このように、資格取得のリターンは非常に大きいのです。
社会人の受験者数の現況
社会人の受験者数の推移
2014年から2023年にかけて、社会人の受験者数は以下の通りです。
社会人の公認会計士試験受験者数
実施年度 | 受験者数 |
---|---|
2014年度(平成26年) | 3,205名 |
2015年度(平成27年) | 3,111名 |
2016年度(平成28年) | 3,124名 |
2017年度(平成29年) | 3,338名 |
2018年度(平成30年) | 3,419名 |
2019年度(令和1年) | 3,645名 |
2020年度(令和2年) | 3,521名 |
2021年度(令和3年) | 3,763名 |
2022年度(令和4年) | 4,796名 |
2023年度(令和5年) | 4,918名 |
このように、公認会計士を目指す社会人は年々増えています。
社会人が公認会計士を目指す機会が以前より現実的になり、社会人でも公認会計士を目指す人が増えてきたと言えます。
属性別の出願数
2023年の公認会計士試験で受験者数を属性別にみると、社会人が約24.2%と2番目に多い割合を占めています。
受験者のうち最も多いのは学生で約52%ですので、社会人の割合と大きく差があることがわかります。
社会人の合格者数の推移
論文式試験の合格率の例を挙げると、2022年の社会人の合格率は約22.2%、2023年の社会人の合格率は25.0%でした。
正直合格率が高いとは言えませんが、悲観するほど低い数字でもないと言えます。
勉強をすすめる上でのポイント
独学で挑戦することはできるのか?
独学は基本的に厳しいと考えておいた方がよいでしょう。
膨大な量の知識を覚えなくてはならず、しかも1度の試験で合格しなくてなりませんので、かなり効率よく、戦略的に勉強方法を確立し勉強を進めないといけません。
そのため多くの方は予備校やスクールに通ったりしながらカリキュラムに沿って進めているのです。
独学で勉強をして合格することは不可能ではありませんが、かなりの苦労が伴うと考えておくのがいいでしょう。
仕事と勉強の両立はできるのか?
勉強時間を確保する方法を考えれば、社会人の受験も夢ではないです。
働きながら公認会計士試験を受ける際に最も難しいのは、勉強時間を確保することでしょう。
しかし、移動時間や休憩時間など、持てる時間を有効活用することで、「時間の隙間」を受験のための時間で埋めることができるのです。
会計に関連する分野で働いている人は、仕事の経験を活かして、学習のイメージを膨らませることができるという声もあります。
また、効率性の高さやタスク管理能力は、社会人にしかない強みであり、学生にはないものだと考えています。
また、公認会計士試験の詳しい内容が学習方法について、更に詳しく知りたい場合は「公認会計士試験の科目とは?試験内容を徹底解説」の記事をご覧ください。
社会人が公認会計士試験合格に必要な勉強時間
繰り返しになりますが、社会人にとって一番大変なのは、勉強する時間を確保することです。
日本の三大国家試験のひとつと言われるだけあって、公認会計士試験に合格するためには、かなりの勉強時間が必要です。
公認会計士試験に合格するために最低必要な勉強量の目安は、「1日7時間の勉強を1年半~2年」です。
もちろん、すでに会計や法律の知識をお持ちの方は、勉強時間を短縮することもできるでしょう。
いずれにせよ、社会人が1日7時間を勉強に充てるのはかなり難しいと言えます。
通勤時間や昼休みなどの隙間時間を上手に使って勉強することが大切です。
合格を目標にモチベーションを保ち、集中して勉強するしかありません。
もちろん、毎日長時間仕事や勉強をするわけにはいきませんから、適度な休息も必要です。
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公認会計合格後の転職先
監査法人
公認会計士の資格取得後は監査法人がキャリアアップの場として人気です。
監査法人は、企業の財務書類などを監査する組織です。
また、監査法人によっては、監査だけでなく、コンサルティングを行うところもあります。
監査法人に勤めれば、かなり高い年収が期待でき、年収1,000万円を超える人も少なくありません。
上場企業等の数だけ監査の仕事があるため、今後も高い需要が見込まれます。
会計事務所・税理士法人
公認会計士試験合格者の就職先として監査法人に次いで多いのが、会計事務所・税理士法人です。
会計事務所でも監査業務を行っているところもあるが、上場企業の多くは大手・中堅の監査法人と契約しており、会計事務所が行う監査案件は中小企業や非一般企業を対象としたものになる傾向があります。
資本金5億円以上のクライアントは実務要件の対象となりますが、税務業務だけだと実務要件の対象外となりますので、その点をご了承ください。
規模は小さくても、税務業務だけでなく、M&Aや相続などの専門的なコンサルタント業務など、専門性や独自性に強みを持つ会計事務所もあります。
そのような環境の中であれば、公認会計士として専門性の高いスキルを身につけるチャンスがあります。
また少人数であるため、複雑な業務や責任ある立場の経験を積みやすいということもあります。
幅広い業務や会社経営に近い立場で働けるメリットがあり、将来的に開業を視野に入れた経験を積みたい方にも適しているかもしれません。
一般企業
監査法人以外では、大企業の財務・経理部門に所属することもあります。
近年、会計基準はますます複雑化しており、専門的な会計知識を持つ公認会計士の価値はますます高まっています。
大手企業であれば、1,000万円以上の年収も期待でき、経済的なメリットも大きいでしょう。
同じ会社で長く働きたい人にとって、一般企業への転職は有力な選択肢の一つです。
公認会計士の年収はどれくらい?
公認会計士の平均年収は厚生労働省の「給与構造基本統計調査」では992万円となっています。
なお、会計事務所の受験後1年目の初任給は30~35万円(年収約550万円)で、一般的な新卒者の初任給21万円(厚生労働省「給与構造基本統計調査」)と比べて非常に高い水準にあります。
社会人が公認会計士を目指す際の注意点
勉強を始める前に環境を準備しておく
公認会計士試験には大学生が参加しますが、彼らを含めても9割は不合格です。
受験に至る前に脱落する人も多いので、実質的な比率はもっと高くなります。
環境を整える前に勉強を始めても、なかなか結果が出ないので、まずは環境を整えましょう。
1.転職を検討する
現在お勤めの事務所は残業が多く、勉強時間が十分に取れない場合は、受験前に転職を検討しましょう。
転職活動の時間が取りにくい場合は、転職エージェントを活用するのも有効な手段です。
自身に適した求人を転職エージェントが紹介してくれますので、手間のかかる転職活動を効率的に時間を短縮して進めることができます。
2.週に1日、休みを取る
資格試験の準備で一番大変なのは、三日坊主にならないように、継続して計画的に進めることです。
週に1日は完全に休んで、その日を家族サービスに充てれば、大切な人から文句を言われることも少なくなるはずです。
独身者も週に一度は受験のことを考えずに、趣味やスポーツをする日を設けてリフレッシュするとよいかもしれません。
自分にあった勉強方法を見つけることが効率的に学習を進めるコツともいえるでしょう。
モチベーションを維持することが最重要
人のモチベーションは日々下がっていくものです。
難易度の高い試験を受けるには大きな覚悟が必要になります。
とはいえ、公認会計士になれたらリターンは大きいです。
大げさでもなんでもなく、人生が変わります。
試験後にやりたいことをできるだけ具体的にしておきましょう。
そうすることで、長期間におよぶ公認会計士試験の勉強について、モチベーションを保ちながら乗り越えられるのです。
公認会計士を目指すなら計画的な転職活動を
公認会計士試験は年齢、国籍、学歴に関係なく挑める門戸が開けた試験です。
社会人が公認会計士を目指そうと思った場合、大切なのは何のために公認会計士になりたいのかということです。
目指す前に目的をはっきりとさせておきましょう。
明確な目的(ゴール)が決まっていることで、長期間かかる勉強もモチベーションを維持しながら乗り越えられると思います。
公認会計士になれば、転職先の選択肢は大きく広がると理解しておきまそしょう
将来性の高い資格であることは間違いないでしょう。
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投稿者情報
- 公認会計士資格を取得しており、現役で公認会計士として仕事をしています。税理士資格も持っていますので、財務、会計、税務、監査などの専門的な業務経験も豊富にあります。ライターとして5年以上執筆しており、専門的でリアルな内容が好評いただいています。
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