公認会計士が転職でキャリアアップ!メリットや転職先の選び方のコツを解説
2024/03/01
超難関の公認会計士試験に合格し、すでに公認会計士として活躍している人の中には、より高いキャリアを目指したいという人も少なくありません。現状に満足せず、公認会計士の資格をフルに活かしたいという志を実現させるためには、転職をするのも1つの手段です。
ただし、転職というの人生のイベントの中でも大きな選択になるかと思いますので、キャリアアップを成功させるためには、転職先を慎重に選ばなければなりません。
今回は、日本3大国家資格ともいわれている公認会計士のキャリアアップにおすすめの転職先の選び方や、転職をすることによるメリットについて詳しく解説します。
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コンテンツ目次
公認会計士のキャリアと可能性
公認会計士は弁護士や医師と並んで国家資格の中でも最も難易度が高いと言われています。しかし、公認会計士が活躍できる分野は幅広く、キャリアを積んでいけば、1つの職場にこだわらなくても、様々な働き方の可能性が広がっています。公認会計士の主な職場といえば、企業の監査を専門的に行う監査法人があります。その中でも大手監査法人のBIG4監査法人は人気があります。その他にも、監査以外で企業の税務業務を担う会計事務所も定番です。
監査法人や会計事務所などで働き続けながら、公認会計士としてのキャリアを積み上げていくことが一般的ですが、中には、「自分が得意とする専門分野を極めたい」、「もっと仕事と家庭のバランスが取れるゆとりある働き方がしたい」、「会計業界以外の世界で自分の力を試したい」、「一国一城の主として独立したい」と、自分の可能性を広げるべく、転職にチャレンジする人もいます。たしかに、公認会計士としてのキャリアをある程度積んでいけば、そのキャリアを活かして監査法人や会計事務所以外の別の分野で活躍できるチャンスはたくさんありますが、実際に対象となる転職先はどのようなものがあるのでしょう。
キャリアアップが狙える公認会計士の強み
士業と言われる資格の多くには独占業務という資格を持っていないと、行うことができない業務があります。この独占業務があることで、一定の仕事量を確保しやすいというのが士業の最大のメリットでしょう。
公認会計士が行う業務のうち、「監査業務」は、公認会計士の独占業務です。監査業務は、企業の財務諸表を見て、その内容が適正に処理されたものかどうかを確認する業務です。
また、公認会計士が税理士の独占業務である税務業務を行うこともあります。公認会計士の資格を取得した後、特定の研修を受けることで、税理士の資格も取得できるからです。しかし、当然ながら公認会計士が税務業務を行う際には、税理士会への登録が必要になります。
公認会計士が行う業務には、企業コンサルティングや財務アドバイザリーなどの業務もあります。金融、財務、法律など幅広い知識が求められますが、公認会計士としてのスキルをフルに活用できる業務として近年需要が高まっています。
公認会計士が転職するメリット
公認会計士は、転職をすることで多くのメリットを得られます。転職を悩んでいる場合、メリットを把握しておくと、転職後のイメージをしやすいでしょう。ここでは、公認会計士が転職するメリットを4つ紹介します。
キャリアアップが期待できる
現職での経験や実績がある方は、転職先で管理職になれたり、これまで得られなかった分野で経験が積めたりと、キャリアアップに繋がる可能性があります。例えば、M&A業界では、公認会計士は重宝される職種です。公認会計士としての経験がある人は、M&A業界に転職した後も、BIG4監査法人のアドバイザリー部門や投資銀行、ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス(FAS)系のコンサルティングなどに採用されるケースもあるでしょう。また、経験値を深めていけば、さらなるキャリアアップとして、企業におけるCFO(最高財務責任者)や独立開業を目指すことも可能です。公認会計士のキャリアパスは非常多岐にわたっていますが、それは公認会計士の知識や経験が様々な職種で必用な知識やノウハウであることがうかがえるからです。
年収アップが期待できる
公認会計士が転職をすると、これまで培ってきた経験が評価され年収アップも期待できます。年収水準の高い業界を転職先に選べば、1000万円を超えるほどの年収になることも考えられるでしょう。ただし、転職先によっては、年収が下がる可能性もあります。年収アップを望んで転職をするのであれば、対象となる職種の平均年収を調べておき、条件として加味しながら選ぶことが大切です。
私生活を充実させられる
基本的に、監査法人はクライアントに合わせて業務を行います。そのため、休日出勤や残業が必要となるケースも多く、私生活が満たされないという不満を抱く人も少なくありません。
一方で、一般事業会社に公認会計士として務めた場合は、社内の業務を行うため、年間のスケジュールが決まっているケースがほとんどです。また、近年は、ワークライフバランスを重要視する会社が増えており、残業を削減する会社も多く見られます。残業や休日出勤が少なければ、休日のスケジュールが立てやすくなり、ワークライフバランスを保ちやすい点も大きなメリットです。
スキルアップできる
公認会計士の資格を持ちながら、今まで経験したことがない業界にチャレンジすると、新たなスキルや知識が得られる点もメリットの一つです。公認会計士として監査法人で活躍した経験値があれば、一般事業会社だけでなくM&A業界といった専門分野に特化した業界でも重宝されます。もともと会計に関する知識やスキルなどの土台がある公認会計士は、未経験者よりもスキル習得や、スキルアップがスムーズにできるでしょう。
公認会計士のキャリアアップにおすすめの転職先
公認会計士が転職するメリットはいくつかありますが、実際にどこに転職すれば良いかわからない人も多いでしょう。キャリアアップを狙って転職するのであれば、転職先を慎重に選ぶことが大切です。ここでは、公認会計士のキャリアアップにおすすめの転職先として対象となる10パターンの選択肢を紹介します。
公認会計士の転職先としては監査法人だけではなく、大手コンサルティングファームなどのコンサルティング会社など活躍できるフィールドがとても広いことが特徴です。
監査法人
公認会計士がスキルを発揮しやすい転職先の一つが監査法人です。監査法人では、クライアントの監査業務を手がけ、公正な立場で財務諸表をチェックします。公認会計士によるお墨付きが、投資家や金融機関の判断材料になるため、重要な仕事です。
監査法人に転職した場合、公認会計士の知識を存分に活かせる点が大きなメリットといえるでしょう。しかし、監査法人は人気が高く、競争率が高い点がデメリットです。優秀な人材も多いため、監査法人の中でキャリアアップを目指すためには、それなりの実績を残す必要があります。
おそらく、公認会計士が就職しようと考える対象として、最多なのは監査法人だといえるでしょう。 特に4大監査法人BIG4と呼ばれる、有限責任あずさ監査法人(KPMG)、EY新日本有限責任監査法人、有限責任監査法人トーマツ(Deloitte)、PwC Japan有限責任監査法人の4つは、公認会計士であれば一度はチャレンジしてみたいキャリアでしょう。
逆に監査法人で経験や実績を多く積んでこられた方は、監査法人以外の業界への転職を望まれる方も多いのです。なぜならば監査法人の仕事は激務で残業が多く、作業は単調な繰り返し、将来的なキャリアパスが見えないなどの状況から、監査法人以外を対象として転職を考える人が増えているのです。
会計事務所
公認会計士や税理士の資格を持つ人が代表を務める事務所が会計事務所です。監査法人よりも規模が小さいことが多く、クライアントとの距離が比較的近い点が大きな特徴といえます。主な仕事内容は、法人や個人に代わって行う経理処理です。中には経営に関するアドバイスや事業承継業務を担うケースもあります。
会計事務所で働く大きなメリットは、地域に根ざしてクライアントの頼りになる存在として活躍できる点です。また、税務に関する知識が身に付く点もメリットといえるでしょう。ただし所長の考え方と合わない場合、自分の希望と合わない業務や役職に就く可能性がある点がデメリットです。一般的にブラック企業といわれるような対応をする会計事務所に転職しないためにも、事前にリサーチしておく必要があります。
会計系コンサルティング
大手企業の内部統制サポートやM&Aに関連すること、上場準備企業のIPOサポートなどを行う職種が、会計系コンサルティングです。すでに監査法人である程度の実績がある人は、即戦力として重宝されるでしょう。
会計系コンサルティングは、企業の命運を左右する仕事であり、プレッシャーを感じやすい業務ですが、その分やりがいもある点はメリットといえます。一方で、プロジェクトによっては、クライアントの要望に対して速やかに応える必要があるため、激務になりやすい点がデメリットです。
税理士法人系コンサルティング
税務に特化したコンサルを行う職種が、税理士法人系コンサルティングです。公認会計士が転職した場合は、税務に関する知識がないため、M&A業務において、売買先の企業を調査する税務デューデリジェンスに携わることが多いでしょう。その後、税務を段階的に覚えていき、経験と実績を積んで独立を目指す人も少なくありません。
税務と一括りにしても、国際税務や事業承継など業務の範囲は幅広く、高い経験値を積みやすい点が税理士法人系コンサルティングのメリットです。しかし、コミュニケーションスキルや問題解決力、論理的に考える思考なども税理士法人系コンサルティングには求められるため、適性を踏まえたうえで転職する必要があります。
公認会計士の資格を有していれば、無試験で税理士の資格を取得することもできますので、これまでの経験や実績を加味して戦略的に計画しましょう。
金融系コンサルティング
金融系コンサルティングは、資金調達や投資戦略、M&Aに関連する戦略やアドバイスを行う仕事です。公認会計士の資格があれば、適正なコンサルティングができるため、クライアントからの信頼が得られやすいでしょう。
金融系コンサルティングのメリットは、公認会計士の転職先の中でも高水準の年収が期待できる点です。ただし、事業のグローバル化がすすむ昨今、国際的な法規制を把握することが求められる他、交渉力が求められるなど、求められる条件が多い点はデメリットといえます。
その他コンサルティング
英語やIT関係の知識やスキルがあれば、外資系やIT系のコンサルティングに転職するのも一つの方法です。外資系コンサルティングの仕事内容は多岐にわたり、経営戦略に特化した業務や業務改善などを行うこともあります。一方、IT系のコンサルティングは、ITを活用した事業戦略を立てたり、業務改善を行ったりする他、システム導入のサポートが主な仕事です。
いずれの業務も、公認会計士の知識は必須であり、すでにスキルを持っている人材は、即戦力として重宝されます。特に、外資系コンサルティングは、外資系企業の中でも、高年収が期待できる業種です。ただし、コンサル業務は、迅速な対応が求められる上に、クライアントに合わせて業務を行うハードワークであり、集中力や忍耐力が求められます。
上場企業
上場企業は、株主や取引先といったステークホルダーに対して、経営状況を開示しなければなりません。また、上場企業の中には海外進出を行う企業も多く見られます。そのため、日本だけではなく、国際基準を踏まえたうえで会計処理を行う必要があり、知識やスキルの高い公認会計士は、重宝される存在です。
上場企業に転職したことによって、企業の経営企画に携われる可能性がある他、CFO(最高財務責任者)へ昇格する可能性もあるでしょう。こうしたキャリアパスが描ける点は、上場企業に転職するメリットといえます。ただし、上場企業は多くの転職希望者が狙う転職先であり、採用倍率が高い点は大きなデメリットです。
中小企業
中小企業の管理部門の経理部や内部監査部門に転職するのも1つの方法です。業務内容はバックオフィス部門(管理部門)で経理や財務といった会計、会計監査業務に加えて、内部監査の進行や業務管理なども行います。
中小企業は監査法人よりも残業や休日出勤が少ない企業が多く、ワークライフバランスを取りやすいのが大きなメリットです。ただし、収入が下がるリスクもあるので、転職の際には慎重に検討する必要があります。
ベンチャー企業
ベンチャー企業も、公認会計士の転職先として人気があります。ベンチャー企業とは、オリジナリティのあるアイディアや技術を駆使して新たなサービスを行う企業のことです。ベンチャー企業の中には、IPO(新規公開株)を目指し業績アップを狙う企業も多く、ファンドやベンチャーキャピタルなどからの投資を計画していたりと公認会計士の知識やスキルが求められています。ベンチャー企業の魅力は、これまでになかった新しいジャンルにチャレンジできる点でしょう。ただし、前例がないチャレンジをする場合は、その分失敗のリスクが大きくなる可能性もあります。
また、組織が成熟していないことが多く、管理部門の業務内容や業務範囲も曖昧なケースも目立ちますが、シームビルディングを1から手掛けたいと考えている方にとってもやりがいがあると思います。
FAS
FASとはファイナンシャル・アドバイザリー・サービスの略称です。財務関連のサポート役として、M&Aや事業再生などを請け負います。FASにおいて、必ずしも公認会計士の資格は必要ありませんが、対外的なアピールを踏まえると、公認会計士は重宝される存在です。また、仕事内容によっては公認会計士の知識を活かせる点も魅力といえるでしょう。ただし、FAS業界は忙しいことが多いため、転職を検討する際は注意しておく必要があります。
転職するなら将来を見越した働き方を選ぼう
公認会計士の資格を持ったうえで転職するのであれば、将来その資格をどのように活かすかをよく考えて転職先を選ぶようにしましょう。
公認会計士の業務は幅が広く、いろいろな働き方を選ぶことが可能です。しかし、先のことを考えずに転職先を選んでしまうと、スキルやキャリアを身に付けるチャンスを逃してしまうことにもなりかねません。どんな公認会計士を目指すのかをまず考え、それを実現できるような働き方を選ぶのがおすすめです。
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公認会計士の転職先の選び方
公認会計士が転職をする際は、転職先の業界や企業の空気感が自分の特性と合うかどうかを確認することが大切です。年収や待遇だけを見て転職先を決めてしまうと、働き始めてから転職したことを後悔する可能性もあります。
転職先の雰囲気やイメージを理解したうえで、希望年収や転職後のキャリアパスを検討しましょう。その際、ある程度の基準を設けておくと転職先を選びやすくなります。特に、年収アップやキャリアアップを目的として転職を検討している場合は、本当に目標が達成できるかどうかも考慮することが大切です。
また、私生活の充実を図りたいのであれば、ワークライフバランスについても着目しなければなりません。残業時間や離職率、福利厚生なども意識してリサーチしましょう。その他、やりがいや専門性なども転職先を選ぶ際の条件になりやすいです。
公認会計士が転職する際のコツ
公認会計士が転職するにあたって、押さえておきたいコツがあります。コツを理解せずに転職を急いでしまうと、失敗する可能性もあるので注意しましょう。ここでは転職のコツを4つ紹介します。
転職の目的を明確にする
まず大切なのが、転職の目的をはっきりさせることです。目的なく転職しても、「なんとなくイメージと違う」と感じてストレスを抱えてしまう可能性があります。転職先を決める前に、転職を意識するようになった理由を整理してみましょう。「年収をあげたい」、「キャリアアップしたい」、「私生活を充実させたい」など思い付くことを羅列しながら、転職の目的を明確化することが大切です。
目的が明らかになったら、優先順位を付けておく必要があります。例えば、年収アップとキャリアアップを望む場合、どちらを優先的に検討するか決めておくと、対象となる転職先を選ぶ際の指針にしやすく、面接時にも説得力のあるアピールができます。
転職の目的を明確にすることは、貴方のキャリアプランを設計するために重要なポイントなのです。
自分のキャリアやスキルを洗い出す
希望する転職先の企業に自分の特性をアピールするためには、これまでのキャリアやスキルを洗い出しておくことが大切です。前職でどのような案件に携わってきたか、所持している資格やスキル、経験などを具体的に書き出してみましょう。すべて洗い出せば、履歴書や職務経歴書を書く際にも役立ちます。
また、採用担当者から、キャリアやスキルについて質問される可能性があるため、転職後に自身のキャリアやスキルをどう活かしていけるかをアピールできるように準備しておきましょう。
安易に独立を考えない
公認会計士資格は、様々な業務に対応できる上に、需要が高いため、独立を考える人も少なくありません。しかし、「これだけ需要があれば、独立してもうまくいくだろう」と安易に考えるのは危険です。
公認会計士が担う仕事の多くは、景気に左右されやすく、独立後すぐに安定的な仕事が得られるとは限りません。また、長期的な仕事は少なく、仕事を得られたとしても定期的な仕事など安定した収入を継続できない可能性があります。また、雇用されている状態とは異なり、年収やキャリアアップに繋がる保証もないため、独立に関しては慎重に検討するべきでしょう。
転職先は情報収集して慎重に選ぶ
転職先を選ぶ際は、情報収集と分析が必要です。転職サイトに書かれていることを鵜呑みにして転職先を決めてしまうと、失敗する可能性があります。転職サイトには、企業の情報だけでなく、すでに働いている人の感想や評判、口コミなどが掲載されている企業も多いので、様々な角度からリサーチすることが大切です。リサーチしたうえで、自分の特性や希望にマッチしているかどうかを判断するようにしましょう。
初めて転職をする人にとって、自分に合う職場を選ぶことは難しいです。転職したあとにこんなはずじゃなかったとミスマッチだったことに気づくような失敗をしないためにも、会計業界に詳しい転職エージェントへの相談をおすすめします。もし、大手だからといって会計業界に詳しくない転職エージェント相談してしまうと、希望の条件や譲れない条件、貴方の資格やスキルの価値なども理解されず、適した求人を紹介してもらえない可能性があります。きちんと希望条件やスキルに対して理解してくれることはもちろん、適正な評価をしてくれる会計業界専門の転職エージェントを利用するほうが転職活動もスムーズに進むので断然おすすめです。
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投稿者情報
- 公認会計士資格を取得しており、現役で公認会計士として仕事をしています。税理士資格も持っていますので、財務、会計、税務、監査などの専門的な業務経験も豊富にあります。ライターとして5年以上執筆しており、専門的でリアルな内容が好評いただいています。
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